Project/Area Number |
21J12651
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小松 遊矢 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 酸水素化物 / 金属-絶縁体転移 / エピタキシャル薄膜 / 電気・光学特性制御 |
Outline of Research at the Start |
外場により電子物性(電気・光学特性等)制御可能な物質は、多機能メモリやスマートウインドウとしての応用が期待される。これまでに、イットリウム酸水素化物薄膜における可逆な光誘起絶縁体-金属転移を達成し、メカニズムとして水素の荷電状態変化とサイト間移動(H- →/← H+ + 2e-)を見出した。そこで、電気化学的な手法を用いた水素の荷電状態や物質内拡散の制御により、高速(<1 s)エレクトロクロミズムをはじめとした水素化物の新奇物性開拓を狙う。
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Outline of Annual Research Achievements |
水素の対極的な荷電状態変化(H+およびH-)や物質内拡散を活用した、新たな電子物性制御および機能応用を目指している。これまでに、イットリウム酸水素化物薄膜における可逆な光誘起絶縁体-金属転移を初めて達成し、メカニズムとして水素イオンの酸化還元反応(H- →/← H+ + 2e-)に伴うサイト間移動を提案した。しかし、絶縁化プロセスはこれまで熱的なものしか知られておらず、高温・長時間(>100℃, ~hours)を要する点が光エレクトロニクス応用における課題であった。そこで本研究では、電場駆動による水素の荷電状態制御を用いた、高速エレクトロクロミズムをはじめとする水素化物の新奇な物性変調を狙った。 2021年度は、予備実験により見出された水溶液中電位印加による金属-絶縁体転移に関して、電位応答性評価やメカニズム解明に向けた検討を行った。はじめに、反応電位や時間スケールを評価するため、透明導電膜(Nb-doped TiO2)を集電体とした積層薄膜作製および電位応答性評価を行った。UV光照射した黒色薄膜に対して、NaOH水溶液中にて+1.0 V vs. RHEの電位印加を行ったところ、10 secでの透明化を見出した。これは、熱による透明化が125℃、2 hourを要するのと比較して大幅に速い。 この電位印加絶縁化のメカニズムを調べるため、電位印加前後における構造・組成評価を行った。X線回折からはイットリウムfcc骨格の維持を確認した。一方で、重水素(D)ラベリングした薄膜を用いた水素組成評価(核反応分析法)からは薄膜-溶液間における水素含有種の拡散を示唆する結果が得られた。今後は、絶縁化メカニズムにおける電界効果と化学置換効果の判別や、水素拡散を積極的に活用した物性開拓へと展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透明集電体を用いた均一電位印加によって絶縁化に必要な電位・時間の定量評価が可能となり、酸素発生電位(+1.23 V vs. RHE)より低い+1.0 V vs. RHEから絶縁化反応が進行する点や、加熱プロセスと比較して時間を2桁短縮化できた点を示すことができた。電位印加による絶縁化過程において薄膜-外界間の水素拡散が示唆された点に関しても、積極的な組成制御による新たな物性変調の可能性が拓けた点で意義深い。 以上の結果を学会発表(応用物理学会, 招待講演)し、さらに光誘起金属化の詳細なメカニズムに関しても理論計算等の新たな知見を加えた上で論文投稿(Chemistry of Materials)・国際学会発表(Pacifichem)した。
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Strategy for Future Research Activity |
電位印加による金属-絶縁体転移は室温で進行するため、これまで知られていた熱による絶縁化と比べて水素脱離・酸化等の副反応の抑制や、ひいては高い繰り返し特性が期待される。電位プロセスのさらなる応用に向け、熱プロセスとの物性面における差異をより詳しく明らかにしたい。この電位印加絶縁化のメカニズム候補は電場駆動型および化学置換駆動型の2種に大別できると考えており、判別に向けた薄膜-溶液間の拡散現象評価(交流インピーダンス法)や、化学種依存性評価(非水溶媒や同位体ラベル溶媒)を行う。以上から得られた特性・メカニズムの知見をもとに、全固体デバイス化や組成制御による物性変調等への展開を目指す。
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