ラオス北部の少数民族における性的分業と肥満の男女間差
Project/Area Number |
21J12835
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80010:Area studies-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木部 未帆子 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ラオス / 肥満 / 性的分業 / 栄養 / 身体活動 / 現金経済化 / 避妊法 / 土地利用 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ラオス北部山岳地帯に住む少数民族の健康状態を事例とし、近代化以前の集団における肥満のリスク要因とその男女間差の解明を試みるものである。2019年に行われた現地調査では、自給的な焼畑農業や野生動植物の狩猟採集を営む同集団において、女性のみに肥満が確認された。一般に、非感染性疾患の有病率の増加と明確なジェンダー構造は近代の産物であると考えられており、この事象を説明する仮説は明らかでない。そこで本研究では、人類学的手法を用いて、自給自足的な生活を営む集団における非感染性疾患のリスク要因とその性差が生じる原因を究明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、コロナ禍を経て約3年ぶりにラオスでの調査を再開することができた。2022年4-5月・7月に調査ビザの手続きを、2022年8-9月及び2023年2月に定量的な身体活動・食事調査と健康状態に関する聞き取り調査を実施し、以下のような知見が得られた。 ◆サトウキビ契約栽培の導入による性的分業の変化:NN村は2021年にサトウキビの契約栽培を始めた。2019年8-9月 (雨期) の主な生業活動は、男女ともに焼畑・水田の除草だったが、2022年の雨期では顕著な性的分業(女性:除草、男性:サトウキビの収穫に使う竹ひも作り)が確認された。2023年2月 (乾季) は、男女ともにサトウキビの収穫が主な仕事であった。サトウキビ契約栽培の導入によって、特に女性の身体活動量が増加し、数kgの体重減少がみられた女性もいた。 ◆加工食品の消費量の増加:サトウキビ栽培で多忙になり、野生動植物をとる時間がなくなったことで、加工食品 (インスタントラーメンや魚の缶詰) の消費量が増加した。食事の内容に顕著な男女差は認められなかった。 ◆避妊注射の影響:聞き取り調査によって、避妊注射が女性の肥満の一因である可能性が浮かび上がった。たしかに過体重・肥満だった女性のうち、1人を除く全員が避妊注射を受けていた。避妊注射は無料で受けることができるが、点滴やピルの料金は自己負担である。それでも太りたくないという理由で避妊注射を避け、点滴やピルを利用している女性もいた。 以上のように、NN村における肥満の男女間差は性的分業と食事からは説明が難しく、避妊注射に含まれる性ホルモンが女性のエネルギー代謝に関係している可能性が示唆された。詳細についてはさらなる研究が必要であるが、注射以外の避妊法も無料で提供するなど医療サービスを拡充させることで、ラオス農村における肥満リスクの男女差が是正される可能性がある。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)