Project/Area Number |
21J13039
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上木 岳 信州大学, 総合医理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 共進化 / 腐朽菌 / 酵母 / ブナ / 共生微生物 / 水平伝播 |
Outline of Research at the Start |
既知の生物種数の1/4を占める植食性昆虫の適応放散は植物と昆虫の相互作用の結果として説明されることが多い。しかし、枯死植物の摂食に関しては植物組織の分解に関わる真菌類等も含めた多者系の相互作用が評価されておらず、植食性昆虫の適応放散の全貌解明には至っていない。本研究では4者共生系をもつクワガタムシ類を対象に、共生微生物の多様性および両者の共進化パターンを解明するとともに、クワガタムシの栄養生理における共生微生物の役割を精査する。以上の結果から共進化にともなう両者の種の多様化とクワガタムシの栄養生理の進化にともなう生態学的ニッチの多様化という2つの適応放散プロセスを究明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では枯死木を利用するクワガタムシを中心とした4者共生系(クワガタムシ-樹木-腐朽菌-共生酵母)の個々の共生関係を紐解くことで、クワガタムシの多様化プロセスの解明を試みた。 クワガタムシ科を網羅する日本のクワガタムシ科全属とその共生酵母の系統関係を明らかにした。その結果、褐色腐朽菌を利用する祖先的なクワガタ・グループはセロビオース発酵性酵母との共生関係をもつのに対して、白色腐朽菌を利用する新しいグループのクワガタムシは広葉樹ヘミセルロースの主成分であるキシロース発酵性の酵母と共生していた。分岐年代推定からクワガタムシの白色腐朽材食性の獲得は約1億年前の広葉樹の出現にともなう白色腐朽菌の多様化と一致していた。このことからキシロース発酵性酵母との共生にともなって白色腐朽材食性を獲得したことが示唆された。さらに、酵母の系統は宿主であるクワガタの系統よりも植生帯やホスト材と強く対応していた。これは酵母の垂直伝播だけでなく、水平伝播が生じたためであると思われる。 ブナに依存するヒメオオクワガタの地理的な遺伝構造をミトコンドリア遺伝子の部分配列およびゲノムワイドな一塩基多型(SNPs)を用いて究明した。その結果、日本海側集団と太平洋側集団の間に強い遺伝的分化がみられ、ブナの地理的な遺伝的分化と合致した。加えて、歴史的な生息適地を推定した結果、ヒメオオクワガタは寄主であるブナと同様の歴史的な分布変遷を経てきたことが示唆された。 本研究では、クワガタムシ科の主要な分類群を網羅した上で共生微生物との共進化と食性進化の関係性を世界で初めて明らかにした。また、クワガタムシと寄主樹木との共進化を明らかにした研究も他に類のないものであり、研究成果の一部をUeki & Tojo (2023)として国際誌に公表した。これらの成果は、植食性甲虫の進化、特に木材食性甲虫の多様化の理解に貢献するものである。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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