Project/Area Number |
21J13287
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木下 実紀 大阪大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 文学 / ペルシア文学 / イラン立憲革命 / ガージャール朝 / 知識人 / 近代化 / 翻訳 / 翻案 |
Outline of Research at the Start |
19 世紀後半から 20 世紀初頭のガージャール朝イランの文学状況は、日本の明治時代の文学同様、近代への過渡期を迎えていた。ペルシア語文学は宮廷を軸として定着した古典定型詩が中心的存在であったが、近代化と共に西欧文学の翻訳を通して、新たな形式の戯曲や小説が執筆されるようになった。当時、西欧留学を経験し近代的思想を吸収した知識人が翻訳や文学の担い手となり、文学に変革をもたらした。とりわけ、彼らの翻訳作品は自らの思想や当時の政治的・社会的情勢を色濃く反映させ、独創性溢れる作品を作り上げていた。本研究は、当時の知識人が生み出した翻案文学の独創性を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、前年度に主軸としていたイラン知識人ターレボフ(1834-1911)による『アフマドの書(1)(2)(3)』(1893-94, 1906)に関する研究をまとめた上で、同時代の翻案作品である『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』(1905)、『72派の宗教談義』(1894) との比較を行い、本研究の総括を行った。また、資料蒐集のためにイランへ2週間渡航し、イラン国立国会図書館等で資料を入手することができた。 まず、『アフマドの書』については、イラン国内の教育状況や西欧諸国による植民地主義に対する批判を行いながらも、国の将来を担う理想的な人物を数多く登場させ、将来に対する希望を描いている点に特徴を見出した。立憲革命期の文学の大半は現状批判に留まり、希望溢れる未来を作品中で提示することは稀であるため、本作品の大きな特徴として指摘した。その旨を「『アフマドの書』における光のイメージと覚醒」と題し、2022年度第2回現代中東若手研究会にて発表した(2022年8月4日開催)。当研究会での指摘を反映させ、世界文学会の学会誌『世界文学 (136)』に、「アブドゥッラヒーム・ターレボフ『アフマドの書』(1893-94, 1906)にみられる西欧近代的理想郷」と題した論文を発表した(2022年12月)。 本作品の分析を踏まえ、上記で挙げた他2作品との比較研究を行い、「イラン立憲革命前夜の在外イラン知識人による翻案文学の諸相」と題した学位論文を提出した。 本論文では、作品分析を通してガージャール朝時代のペルシア文学における「翻案」の諸相を考察した。当時のイラン知識人にとっては「翻訳」という言説的空間が、今日的な意味での「翻案」そして「創作」、および外来の知識授受、文化翻訳、言語置換等の諸要素が比較的に自由に行われる一つの文学的共有場としての役割を果たしていたことを指摘した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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