マルチパラメター制御熱測定を使った分子性物質のエントロピー科学
Project/Area Number |
21J13797
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 祐希 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
|
Project Status |
Declined (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 強相関系 / 超伝導 / 電荷移動錯体 / 熱容量測定 / 低温物性 |
Outline of Research at the Start |
量子臨界点周辺の電子物性やその影響を受けた超伝導相における電子の挙動について、多自由度が協奏する有機伝導体を用いて調べる事を目的としている。
通常の有機物は電気を流さないが、ある種の電荷移動錯体は自由電子を持ち、超伝導などの特異な物性を低温で示す。有機超伝導体は銅酸化物に代表される無機超伝導体に比べると超伝導転移温度は低いものの、分子の修飾性が強く、広い応用可能性を持つ。また、結晶が柔らかいため圧力などの外場に対して鋭敏に応答する。
この物質について、圧力や磁場などを操作して物性が変化する直前・直後の部分に迫り、熱容量という物質の総合的な状態の指標となる物理量から物質の性質について研究する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
電荷移動錯体κ-(BEDT-TTF)2X系はDimer-Mott系の典型例として盛んに研究されている物質であり、超伝導やスピン液体など多様な電子物性を示す事が知られている。この系は分子性導体として、無機金属化合物と比べて柔らかな格子を持ち、圧力などの外場に対して鋭敏な応答を示すという特徴を持つ。また格子の自由度が物性の発現機構においても大きな役割を果たすことが期待される系である。本研究では、特にMott一次相転移線近傍の領域に注目して、部分重水素置換塩を用いたさまざまな温度域での熱容量を主とした測定を行い結果について議論した。
低温(~3 K)での熱容量測定は物質の電子熱容量係数γを与え、これはバンド構造についての情報を与える。最も絶縁体に近い超伝導体について測定を行ったところ、この物質は磁場に対して超伝導の抑制に基づく回復と磁場誘起絶縁化による抑制という二つの機構が拮抗した挙動を示した。この挙動はHubbard-gapが開ききる直前において発生する小さな伝導バンド(mid-gap state)という新たな状態が発現している事を示唆している。
また、超伝導転移温度(10 K付近)で得られる熱容量のピーク強度は超伝導電子対の結合強度を計る指標となる値である。相転移線近傍に位置する超伝導体のバンド構造は外部磁場に対して特異な反応を示し、また、超伝導体の結合強度は増強と減衰という二つの機構が拮抗した挙動を見せた。さらに、高温での熱容量の測定結果から、これらの電子相のふるまいは、相転移線近傍で格子が大きく挙動を変化させている領域の中で起きている事がわかった。これらの挙動は相転移線近傍の伝導相ならびに超伝導相がただバルク性を喪失するだけではなく、量子揺らぎの影響などを受けながら極めて興味深い挙動をとることを示している。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)