Project/Area Number |
21J13992
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
大倉 子南 学習院大学, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 文字景観 / 言語景観 / 文字選択 / 文字政策 / ドイツ文字 / ラテン文字 / タイポグラフィー / 歴史社会言語学 |
Outline of Research at the Start |
20世紀前半のドイツでは、ドイツ文字とラテン文字が併用されていた。どちらの文字を使用するかという問題は、イデオロギー性と実用性のどちらを優先するかをめぐる論争となり、帝国議会での議論やナチス・ドイツによるドイツ文字の廃止といった道筋をたどった。本研究では、こうした概念的な観点から展開し、日常生活における実際的な問題として、この文字選択の問題を分析する。人々が朝起きて読む新聞、昼食後に手に取る雑誌、週末に読む書籍、出かけた街角で目にする広告塔など、日常生活にあふれる文字が織りなす情景を「文字景観」という名称・概念で捉え、文字選択の要因や使用実態を数的・量的に解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の前半はドイツ・ベルリンにおいて、後半は日本において研究活動を行った。研究課題の「文字景観」に関して、これまで行ってきた印刷物の分析だけでなく、写真資料によるベルリンの街並みの分析を進めた。とくに、19世紀後半から交通量や人の行き交いが多かったフリードリヒ通り、ライプツィガー通り、クアフュルステンダムというベルリンの3つの地域を調査した。これらの地域の文字景観については、ドイツ文字の使用例は非常に少なく、確認した文字書体全体の2%から4%の割合にとどまることがわかった。この結果は、1908年に帝国議会において行われた文字をめぐる議論において、ラテン文字使用を支持した議員の発言に一致するものである。このように実のところは、街中で日常的に人々が目にしていた文字というのはラテン文字が圧倒的に多かったと言える。ラテン文字使用が圧倒的に多いことは、街中ではコミュニケーションという観点から「読みやすさ」「理解しやすさ」「目に入りやすさ」といった実用性が優先されたことに起因すると思われる。以上の街中の文字景観に関する調査結果は、同時代の印刷物における文字の使用実態とは異なる様相を呈している。この乖離が、当時の人々にドイツ文字の温存に関する躊躇を抱かせたのではないかと考えられる。 今回の調査により、文字景観を歴史的な視点から分析するために必要なデータの収集方法について今後さらに検討が必要であることがわかった。実際の使用例を見ると、商店の看板、道路標識のほか、政党のポスターや横断幕といった政治的な要素の強いものも確認できたので、政党ごとにどの時期にどの文字を使用していたのかという点についても調査を進める予定である。また、今回の調査はベルリンという首都で、人通りの多い国際性のある場所を対象にしたものであったので、今後は規模の違う地域や都市についても調査していく。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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