Project/Area Number |
21J14568
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 吉彰 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 光重合 / 液晶 / 分子配向 / 高分子材料 / ソフトアクチュエータ |
Outline of Research at the Start |
近年,労働人口減少問題を解決し得るソフトロボットが注目されている。ソフトロボットを構成するアクチュエータの機能は分子の配向により格段に向上するものの,従来法では小面積の二次元分子配向制御に留まっており,機能発現に制限があった。 そこで本研究では,光重合を駆動原理とする分子配向手法を用いて,分子配向の次元数とサイズの制約を解消し,ソフトロボット材料に資する微細分子配向型アクチュエータの創製を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ソフトロボット開発において,入力信号を物理的運動に変換する“アクチュエータ”の変形自由度を向上し,小型化を進めることが重要な戦略である。アクチュエータ材料の候補である液晶高分子は,外部刺激により内部の分子配向が変化し,配向変化に伴って異方的に膨張・収縮することで動きを発現する。従って,緻密な分子配向設計により精巧な形状変化が期待できるものの検討例は限られているのが現状であった。申請者はこれまでに,光重合に起因した分子拡散を用いて基板面内および面外方向に配向した三次元的な分子配向が誘起できることを見出している。本研究では,この現象を利用して光の形状および移動方向を設計すると同時に,重合領域を縮小することで微細な三次元分子配向膜を作製し,小型アクチュエータの創製へ向けた材料設計指針の確立を目的とした。 露光量一定下で光強度,移動速度を変化させながら液晶モノマーの光重合を施した。その結果,分子は基板面外方向から面内方向に傾いた配向(傾斜配向)となることがわかった。さらに,光強度および移動速度が増加すると分子の傾斜角度は増大し,光照射条件の設計により数度単位で分子の傾斜角度を制御できることが明らかとなった。本配向法の駆動力である熱力学的な力を理論的に見積もったところ,光重合時の光強度が大きいほど熱力学的な力も大きいことが明らかとなった。作製した配向膜を用いて,重合性液晶の配向を固定化することにより配向性液晶高分子フィルムのアクチュエータを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,(i)光の形状,動き,強度の制御による三次元分子配向,(ii)微細領域での光重合,(iii)外部刺激に対する変形挙動の評価の三段階に分けて行った。各段階の進捗状況について述べる。 (i)では,露光量一定下で光強度,移動速度を変化させながら液晶モノマーの光重合を施したところ,得られた高分子フィルム中の液晶骨格は光強度に応じて光移動方向に傾くことがわかった。さらに,斜入射広角X線回折測定により傾斜角度を定量的に測定したところ,光照射条件を調整することで傾斜角度を0°から90°まで10°毎に精密に制御できることを見出した。これらの結果に基づき,光の形状・動きを設計することで7 μm程度の三次元分子配向パターンフィルムの作製に成功した。 (ii)では,単スリット光照射での拡散距離および拡散の駆動力,拡散速度を数値解析し,誘起される分子配向との相関を調べた。拡散方程式に基づき算出した拡散距離は分子配向が誘起された長さと良く一致することがわかった。さらに,拡散の駆動力を見積もったところ,光強度に応じて拡散の駆動力は変化した。実験的に得たポリマー転化率および光重合時の粘度変化を用いて,拡散速度を算出し,拡散中にはたらく力を定量的に見積もった。この力は,(i)で得られた傾斜角度の光強度依存性を合理的に説明することを明らかにした。 作製した高分子フィルムを用いて液晶性モノマーを配向し,全面で光重合を施すことで高分子フィルムを作製した。この自己支持性フィルムは加熱により力学挙動を発現し,加熱温度によって屈曲角度が異なることを見出した。内部の分子配向方向に応じた膨張,収縮を定量的に評価することで,アクチュエーションのメカニズムを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
試作したアクチュエータでは,分子配向領域のサイズが最小でも数百マイクロメートルであったため,より微細な分子配向領域を有する素子を作製する必要がある。そこで,偏光顕微鏡(POM)に紫外照射装置を組み込んだPOM-DLPを用いて光照射を行い,数マイクロメートル程度の三次元分子配向パターンを作製する。POM-DLPでは高倍率の対物レンズを選択することで光の照射領域を格段に縮小することができるため,7 μm以下の三次元配向パターンの作製が期待できる。
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