Project/Area Number |
21J14777
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 遥介 福井大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ライニング地中熱交換器 / GSHPシステム / 流量制御 / 省エネ / 単位採放熱係数 |
Outline of Research at the Start |
地中熱ヒートポンプ(GSHP)による冷暖房システムは空冷式システムと比較して高い省エネ性能を有するが,導入時の初期コストが高額であり,投資回収期間が長期化することが課題となっている.本研究はライニング地中熱交換器を利用したGSHPシステムのライフサイクルコストを削減するために,熱源の熱量に応じて熱利用方法を変化させる新たな制御理論を提案し,実証実験および数値解析の両面からその有効性を明らかにすることを目的とする.また得られた結果より,GSHPシステムの未普及地域を対象に導入可能性を検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はライニング地中熱交換器(LBHE)を用いた地中熱ヒートポンプ(GSHP)システムの初期コストおよび消費電力量の削減を両立させるために提案した流量制御方法に関して,実証実験および数値解析の両面からその有効性を明らかにすることが目的である.本年度は実証実験の結果から,流量制御下におけるGSHPシステムの省エネ効果を検討した.さらに,LBHEにおける最適な制御方法を検討する前段として,数値解析によりLBHEの基礎的な熱交換性能を評価した. 実証実験に関して,2020年度に実施された冷房実験の結果を基に,本システムの消費電力量を実験施設に導入する前に利用されていた従来の冷暖房システム(空冷式ヒートポンプシステム)と比較し,省エネ効果を評価した.その結果,本試算条件下では空冷式ヒートポンプシステムから本システムへと更新した場合の日積算消費電力量の削減率は約30%,さらにヒートポンプの省エネ機能である能力上限セーブ制御を組み合わせることで約46%となり,流量制御下における本システムの省エネ効果を確認した. 数値解析に関して,伝熱解析モデルを用いた数値シミュレーションによりLBHEの熱交換性能を一般的な地中熱交換器であるダブルUチューブ(DUT)と比較した.まずLBHEおよびDUTの伝熱解析モデルの妥当性を検証した後,LBHEの仕様条件(直径および長さ)がその熱交換性能に与える影響を把握した上で,LBHEおよびDUTを対象に空調利用を想定した数値シミュレーションを実施した.性能を比較する際は地中熱交換器の性能指標である単位採放熱係数を用いた.その結果,1日当たりの空調運転時間が短いほど,また地盤の有効熱伝導率が大きいほどLBHEの熱交換性能はDUTと比較して増大することが分かった.これらの研究成果は特にLBHEの設計などの実用面においても大きな意義を持つと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数値解析に関して,当初の予定ではLBHEの熱交換性能の評価と並行して,今年度は実証実験で用いたヒートポンプの機器特性を基にその消費電力量の予測モデルを構築する予定であった.しかしながら,実際の消費電力量を計測した結果,本システムにおけるヒートポンプの消費電力量は室内機の稼働台数などの空調利用方法の影響を大きく受け,機器特性だけではその予測が困難であることが分かった.そこで,今年度は空調利用方法の影響を考慮するために,統計モデルによる消費電力量の予測に必要な各種データを蓄積し,その分析に注力した.また,新型コロナウイルスの影響に伴う活動制限によりデータ分析や数値解析を一時中断したこともあり,研究に遅れが生じた.一方,実証実験に関して,条件が限定されるものの,本システムと空冷式ヒートポンプシステムの消費電力量の比較から本システムの省エネ効果を明らかにすることができ,概ね計画通りに進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
実証実験の結果から二次側の制御である能力上限セーブ制御が本システムの省エネ性能に及ぼす影響が大きいことが分かった.これを踏まえて,今後の研究では能力上限セーブ制御の影響も考慮した場合における流量制御の有効性を明らかにする.まず蓄積したデータから重回帰分析を用いてヒートポンプの消費電力量予測モデルを構築するとともに,本モデルを用いて能力上限セーブ制御の最適化を検討する.またLBHEの熱交換性能に関する数値解析の結果を踏まえて,LBHEの仕様条件が変化した場合の流量制御の初期コスト削減効果を評価する.そして,これらの結果を基に本システムのライフサイクルコストを試算し,導入可能性を検討する.
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