ヒト科におけるオスの共存メカニズムの進化:Pan属2種の比較
Project/Area Number |
21J15095
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 翔平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | チンパンジー / ボノボ / オス / 攻撃性 / 離合集散 / Pan属 |
Outline of Research at the Start |
Pan属2種の社会は共に、オスが生まれた集団で生涯を過ごし、メスが集団間を移籍する父系社会である。これら2種は集団メンバーが集合と離散を繰り返しながら遊動・採食を行う離合集散性を持つが、一時的に形成される遊動集団であるパーティの性質は2種で大きく異なる。チンパンジーが形成するパーティは一頭から数十頭と規模・構成共に変化に富むが、ボノボは集団メンバーの大半を含む大きく安定したパーティを形成する。本研究では、Pan属2種のオス個体のパーティ内での位置取りや社会交渉の傾向に対して、オスの持つ順位や家系といった属性が与える影響を明らかにし、種間で比較する。
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Outline of Annual Research Achievements |
①. 2022年4月から8月まで、修士課程で記録したデータに基づき執筆し、昨年度投稿した論文の改稿・再投稿を行った。カリンズ森林保護区のチンパンジーのオスは、順位に応じて参加するパーティサイズに異なる傾向を持つことが示唆された。特に低順位のオスは、交尾可能なメスの不在時、単独で遊動する傾向が他の順位のオスよりも高かった。また、パーティ内のオスの数が増加すると、その中でオスが受ける攻撃交渉も増加することが示唆された。本研究は「カリンズ森林保護区のチンパンジーの離合集散性における低順位オスによるパーティ選択」として国際誌「Animals」で出版された。 ②. 2022年9月以降は、2019年7月から2020年1月の野外調査で集めたコンゴ民主共和国、ルオー学術保護区ワンバにおける野生ボノボのオスの攻撃交渉とグルーピングパターンのデータを解析し、修士課程で収集したカリンズのチンパンジーのデータと比較した。ワンバのボノボのオスは、他のオスがいないパーティに参加することはほとんどなく、パーティ参加という視点では、常に他のオスと共に過ごしていることが示唆された。パーティ内で行われる攻撃交渉は、全体の半数以上が特定の2頭のメスの息子たちの間で行われていた。また、ボノボではオス間の攻撃交渉にメスが参加するが、チンパンジーではそのような事例は見られなかった。このことから、ボノボのオスの順位をめぐる争いは母親が存命の一部のオス間で頻発し、その他のオスは攻撃交渉に関わることも少ないと示唆された。 ③. ①と②で解析したチンパンジーとボノボのオスの攻撃交渉と遊動傾向を比較し、結果を博士論文にまとめた。当該内容は査読付き書籍の章として受理されており、出版予定である。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)