当事者性とその表現―精神障害当事者のアート活動についての哲学的研究
Project/Area Number |
21K00020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
伊東 俊彦 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (00634841)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | アール・ブリュット / 障害 / 当事者性 / 表現 / 当事者 / 精神障害 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本において障害者の芸術表現活動と見做されることが多い「アール・ブリュット」活動について、精神障害当事者の活動に主に着目し、当事者による芸術表現活動が当事者の「当事者性」の回復にいかに結びついているのかを、フィールドワークと、そこで得られた資料を基にした哲学的分析を通じて明らかにする研究である。 そして、上記の目的のために、これまで精神障害当事者自身による活動が積み重ねられてきた北海道浦河町における当事者の活動に中心に調査を行い、「当事者性」と「表現」の関係を哲学的に解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、2023年6月と2024年3月に北海道浦河町およびえりも町で各々1週間程度のフィールドワークを行い、調査先の精神科診療所に集う精神障害の当事者の方々らによって行われている活動を、それを支援する診療所のスタッフの活動とともに調査を行っている。また、当事者によるアート活動の現場などを調査すると同時に、当事者の方々を対象に哲学対話の実践を試みることで、当事者の方々の語りや表現の場に実践的に関わることも引き続き継続して行っている。また、2023年10月には、岩手県花巻市のるんびにい美術館のアートディレクター板垣崇志氏とアーティスト小林覚氏による「であい授業」プロジェクトについても調査を実施することができた。そうした調査や実践を通じ、当事者によるアート活動を支援している方々の中で、「アール・ブリュット」という概念そのものが、表現者とそれを評価する者の間の権力関係を前提としており、当事者による表現活動を表現する言葉として問題を含む場面があること、そして、そうした評価という視線を越えて、表現が、当事者や支援者、そしてそれを観る人々の中で共創的に作り上げられていくプロセスそのものが重要であることが明らかになってきた。そうした「アール・ブリュット」概念が持つ問題性とそれを越えて当事者の表現活動が持ちうる意味について、「「アール・ブリュット」と公共」と題した研究会での報告、および「アール・ブリュットを越えて」と題した論文の形で公表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は当初の予定通りの調査活動が継続できており、また、アール・ブリュット活動に携わる方々とのzoomによる勉強会についても継続し、支援の場においてアート活動がどのように意味づけられ実践されているかについて知見を蓄積することができた。また、そうした支援に携わる方の「語り」を記録する重要性から、昨年度実施したるんびにい美術館アートディレクターの板垣崇志氏のインタビューを解説を付して公表することができた。加えて、新たな取り組みとして始めた哲学対話についても、実践を継続することで当事者による活動の意味を考えるためのデータ収集が進んだと考えている。そして、以上の様々な調査の成果に基づき、「アール・ブリュット」概念が持つ問題性について、研究会での報告や論文などの形で公表することもできた。その点で、2023年度の研究の進捗状況は順調であると考えているため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り北海道浦河町およびえりも町のフィールドワーク調査は継続して行っていく予定である。調査の主な場所として想定した診療所においてこれまで継続して行われてきたアール・ブリュット活動と共に、「カフェデモンク」など当事者によって行われている他の活動についても並行して調査を行うことで、そこにおいて「当事者性」がどのような意味を持っているかを調査する。また、そうした調査を進めていく中で、当事者との実践的な関わりを通じて当事者の生とその表現の場を捉えることの重要性が浮かび上がってきたため、そうした関わりの試みとして哲学対話の実践をより重点的に行い、その意義を分析することを通じて、「アール・ブリュット」概念についても照射していきたいと考えている。加えて、支援者へのインタビュー調査も継続して行い、上記調査で得られたデータを整理・分析するとともに、その他のアール・ブリュット関連施設の調査、および文献調査やzoomによる調査を進め、本研究の根幹の問いを明らかにすることを目指したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)