科学理論の頑健性の検討を通した研究の再現性問題の再構築
Project/Area Number |
21K00029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野内 玲 信州大学, 医学部, 助教(特定雇用) (60757780)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 研究倫理 / 研究公正 / 研究の再現性 / 責任ある研究行為 / 研究の頑健性 / 科学理論の頑健性 / 再現性問題 |
Outline of Research at the Start |
本研究は研究者倫理・研究公正の領域にて近年大きな問題となっている「研究の再現性問題」について、これまで注目されてこなかった人文学・社会科学分野での実態を文献調査、アンケートとインタビューによって実証的に明らかにする。その際、科学哲学の「研究の頑健性」の議論を基に、論述の追跡可能性Traceabilityという観点から研究の再現性問題の根幹を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度末に実施したwebアンケート結果の取りまとめに加え、関連する事項の追跡調査を行なった。 webアンケート結果はまず単純集計をディスカッションペーパーという形で発表した。その後、研究の再現性に関する意識と、研究倫理審査の実態の把握という両側面から統計的な分析を行なった。分析結果は論文として取りまとめ、年度内に公表することができた。当該論文では次のことを主張した。1)統計分析に関する再現性問題は医学や心理学などを中心に議論がなされているが、(本研究で焦点とした)「論述の追跡可能性Traceability」を軸にして、研究成果を客観的に解釈できるかという観点で捉えれば、数値データを扱わない研究分野においても同様に問題になりうる。しかしながら「研究データ」・「再現性」という語で含意されるものが研究分野に依存する可能性があり、さらなる調査の必要性があることが認められる。2) 研究倫理審査の実態について、医学系では人を対象とする研究に関する倫理指針が定められており、それに類した指針の無い人文社会系分野と比べて倫理審査委員会での各審査項目に関する意義の認識に違いがみられる。一方、指針がない中でも人文社会系でも倫理審査の体制は構築されている状況が把握できる。しかしながら、社会学や心理学など人文社会系でも比較的倫理的配慮の必要性が高い分野が同領域全体の意識を底上げしている可能性も考えられ、より分野を細分化した調査の必要性が認められる。 次に、以上の結果を踏まえ、人文社会系における研究実施の特徴的な部分を掘り下げる調査を行った。とりわけ、芸術系など広く社会と接点のある分野では倫理面での配慮について考慮すべき特有の事情もあることが分かった。その成果の一部は、各大学の研究公正・研究倫理に関する講演・講習という形で発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の後半から今年度にかけて、申請時の研究計画を前倒しにする形でアンケートの実施およびその取りまとめを行うことができた。また、アンケートの分析結果を論文として査読付き学術誌に掲載することもできた。その意味では計画以上の進展はあった。しかしながら、本研究の独創的な点である「論述の追跡可能性Traceabilityという観点によって、基礎科学を中心とした既存の頑健性についての議論を拡張する」という計画については十分に達成できたとは言えない。さらなる深掘りは、計画通り最終年度に実施することになるため、本年度は「順調な進展があった」という判断とした。
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Strategy for Future Research Activity |
論述の追跡可能性Traceabilityという観点によって、基礎科学を中心とした既存の頑健性についての議論を社会科学等へと拡張する。その際、アンケート調査で明確になった課題について、研究会等を企画して他側面からの検討を行うほか、関連する学会等で積極的に意見発信をする。最終的な成果はすでに発表した論文を補完する形で取りまとめる。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)