Project/Area Number |
21K00033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine (2023) Kochi University (2021-2022) |
Principal Investigator |
小島 優子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (90748576)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | ヘーゲル / ペナーテース / 生 / 死 / 生命 / 精神 |
Outline of Research at the Start |
ヘーゲルの生命論の研究を通じて、17世紀以降の生命の発生学の中で、生命の誕生過程を分析する。ヘーゲルは発生論の立場として概念的な運動過程としては前成説を受け入れ、受精卵から内容面では何ら新しいものは現れないが、形式的には変容を遂げるという立場をとる。これは彼が自然の展開の内に概念的な運動を見出しているからである。 ヘーゲル『自然哲学』と『法哲学』の分析を通じて、生と死とを、家族の精神、さらに「精神の力」へと展開させるヘーゲルの議論を通じて、本研究では、生と死を取り込みながら運動する精神の概念を問い直す。このために、古代ローマの家神、ペナーテースをヘーゲルが家族の精神と捉えていることを考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月にベルリン国会図書館で文献調査を行い、ヘーゲル哲学の生命論および家族論に関する文献収集を行った。またベルリン医学史博物館、およびドレスデンのドイツ衛生博物館でドイツにおける生命と死や遺伝、ジェンダーなどに関する資料収集を行った。2023年9月9日にドイツ出張調査報告会をオンラインで行うとともに、博物館で収集した資料は「生命倫理学」講義で利用して教育に役立てた。 2023年6月に実存思想協会で公開講演会「ボーヴォワールとサルトル」の司会を行い、論文「哲学における老いについて―ボーヴォワールとヘーゲルを比較して―」(2024年『実存思想論集』掲載予定)を執筆した。この論文では、ヘーゲル哲学において、「老い」がどのように捉えられているか、ヘーゲル『精神現象学』、『歴史哲学講義』、『精神哲学』における叙述から考察した。すなわち、、ヘーゲル哲学では、高齢者の記録力の衰えも精神の「思惟」の中で捉えられているため、高齢化問題は社会問題としてではなく、精神の「思惟」の中でのあり方が議論される。それゆえに、高齢者は記憶力の衰えはあっても、単なる外面的な「記憶」を「思惟」の中で内面化し、熟考する者として捉えられることを考察した。 2023年9月には、高知県医師会で講演「生命倫理における人格の尊重について」を行い、ドイツにおける生命と死に関する思想を紹介すると同時に、ベルリン医学史博物館およびドイツ衛生博物館での研究調査を紹介することによって、研究を社会に還元することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年8月にベルリン国会図書館で文献調査を行い、ヘーゲル哲学の生命論および家族論に関する文献収集を行うことができた。またベルリン医学史博物館、およびドレスデンのドイツ衛生博物館でドイツにおける生命と死や遺伝、ジェンダーなどに関する資料収集を行った。2023年9月9日にドイツ出張調査報告会をオンラインで行うとともに、博物館で収集した資料は「生命倫理学」講義で利用して教育に役立てた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ヘーゲルの生命論に関する論文を執筆して学会発表を行い、論文を学会誌に投稿する計画である。資料収集や研究会への参加により、ヘーゲル哲学の生命と死に関する研究を進めていく。 生命の発生について、17~18世紀に圧倒的優位であった前成説と、18世紀末に取って代わるようになった後成説を検討する(Clara Pinto-Correia,1997)。さらに、ヘーゲルが概念的な運動過程としては前成説を受け入れ、胚から内容的に新しい物は現れないが、形式的には変容を遂げる立場をとることを思想史の中で位置づける。
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