Project/Area Number |
21K00039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐良土 茂樹 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (40711586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | アウグスティヌス / 哲学 / 自由学芸 / 新プラトン主義 / 内観主義 |
Outline of Research at the Start |
アウグスティヌスは「西欧の教師」と呼ばれ、4世紀最大のラテン教父として、キリスト教思想の形成に決定的な役割を果たした。また同時代の他のキリスト教作家に比して「哲学者」としても際立った重要性をもつ点が特異でもある。だがこの哲学者としての面は必ずしもその内実が明らかとはいえず、図式的な整理に留まっている場合が多かった。本研究は、キケロや新プラトン主義など古典古代の哲学の理念が、いかに継承され、また変容を被りつつキリスト教の体系のうちに取り込まれていったか、特に等閑視されてきた初期のアウグスティヌスのいくつかの著作の正確な読み直しを通じて、思想史的に跡づけることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)アウグスティヌスの哲学形成にとって重大な局面の一つは古代末期の「自由学芸」(artes liberales)との関係である。昨年度に引き続いて、三学(特に弁証論dialectica)と哲学・神学の三者がどのように関係するのか、をめぐってカッシオドロスやボエティウスとの比較・影響関係の追跡を推進した。アウグスティヌスが学問論をどの程度まで自覚的に意識していたのかに関してはH.I.マルーやW.イェーガーらの古典的な先行研究を仔細に検討している段階で、まだ文章化してまとめるまでには至っていない。
(2)今年度に掘り起こした新しい課題は、西欧中世におけるアウグスティヌス主義の形成・復興をめぐる諸問題である。12世紀の盛期中世を通じて、修道院神学と初期スコラ学の対立と交流の中から、主としてペトルス・ロンバルドス『命題集』によってアウグスティヌスが多数引用されるようになった。ここから20世紀の新トマス主義においても「トミズムの源泉としてのアウグスティヌス」という評価が定まったと思われるが、その内実・経緯・過程は必ずしも十分に明らかにされたとは言い難い。初期アウグスティヌスのうちに、こうした傾向につながる萌芽を見る可能性を検討した。
(3)分担者(佐良土准教授)によって推進された研究: 現代のスポーツ科学、コーチング理論を援用して、古代以来の「霊的修養」(exercitio spiritalis)の伝統を「生き方としての哲学」(comme maniere de vivre)として位置づける。これは近年紹介と翻訳が進んでいるP.アドやB.ストックの研究の、アウグスティヌスについての応用でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が終息して、大学での授業や会議、学会での発表や講演などの活動が平常に戻りつつある。 (1)研究資料の蒐集と整理は、学内の中世思想研究所との連携で順調に進展している。 (2)国内の若手のアウグスティヌス研究者との研究協力を計画していたが、実現には至らなかった。 (3)海外の研究者数人(A. Cooper, U.Cupe)との意見交換を1月と3月ににオンラインで実施したが、開催時間帯の設定や技術的な点で課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の手法の面では、特に大きな変化はない。 「概要」でも触れたように、今年度の到達した知見をもとに、さらに展開する形で、以下の3つの観点から推進したい。 (1)アウグスティヌスにおける哲学と自由学芸の理念との関係を、より精緻に掘り下げること。 (2)これと連動して、後の12世紀における中世アウグスティヌス主義の復興との関係を、フーゴ―『学習論』やペトルス・ロンバルドス『命題集』の読解・分析を通じて明らかにする。 (3)ヘレニズム以来の「生き方としての哲学」という古代哲学の理念の再定義を、現代のコーチング理論などを参照しながら、新しい形で模索する。
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