ホネット以降の批判理論の新展開―批判理念の再検討を中心に
Project/Area Number |
21K00044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
入谷 秀一 龍谷大学, 文学部, 准教授 (00580656)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | アドルノ / フランクフルト学派 / フェミニズム / 身体論 / 性愛 / 笑い / 社会批判 / 反ユダヤ主義 / 真剣さ / からかい / 演技 / ホネット / 批判理論 / 反知性主義 / 野蛮化 / ナラティブ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、いわゆるフランクフルト学派の活動に注目しつつ、社会実践としての「批判」が現在直面している状況を明らかにする。この学派の第三世代を代表するA・ホネットの承認論は、その前の世代にあたるJ・ハーバーマスのコミュニケーション行為論の欠点を補強し、社会哲学の新機軸を築いた。だが「知」より「情」を優先する様々な承認欲求が交錯する現代社会においては、「知」は安易な分かりやすさにのみ奉仕するよう促されることで、肝心の批判精神を失いつつある。本研究は、こうした現状に対するホネットの、そして彼以降の世代の取り組みをマッピングし、批判のもつべき規範性を改めて、具体的な形で析出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者も所属する社会思想史学会が編集する『社会思想史研究』第46巻(2022年9月、藤原書店)に論文「笑うアドルノ――〈真剣なからかい〉の両義性を巡って」が掲載された(128-147頁)。これは依頼論文でもシンポジウムの記録でもなく、匿名審査を経ての公募論文である。また代表者の単著『感動を、演技する――フランクフルト学派の性愛論』が晃洋書房より出版された(2023年2月、368頁)。 代表者は研究計画書において、フランクフルト学派の一次文献の多くは邦訳されているが、研究や議論は欧米に比べて遅れている、さらに言うなら、第三世代以降の代替わりがすすむ現在の学派の動向についても、リサーチが進んでいるとはいいがたい、と指摘していた。加えて、代表者の研究方針として、現在の学派の活動をそのグローバルな文脈(英語圏のフェミニズムへの影響など)を含めて日本に紹介するだけでなく、批判のアクチュアリティという切り口から学派内外の議論を整理・検証する、という点を強調していたが、先述の単著はこれらの課題に十分にこたえるものだと考えている。著書の帯に書いたように、この単著は「フランクフルト学派の男たちは愛や性、エロス、身体について何を語り、何を語らなかったか。動じぬ男たちに、フェミニストはどのような揺さぶりをしかけたか。一世紀にわたる論争史をふりかえり、彼らの知られざる苦悩、葛藤、欲望、そして女たちとの傷だらけの「交わり」に光を当て、身体化する批判理論、演技する弁証法の可能性を模索する。」ことをテーマとしており、これはまさに、本研究が掲げるテーマでもあったからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果を鑑みれば概ね順調に進展しているといえるが、二点ほど懸念材料がある。一点目は単著の執筆に傾注した結果として、国内での学会発表ができなかった点である。二点目は、コロナ禍の影響もあり、ドイツでの現地調査や国際学会への参加が見送られた点である。これらは次年度以降の課題として取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した課題(国内での学会発表、海外での調査等)に加え、計画表にあるように、国際学会への参加や英語論文の投稿を目指すのが次年度の課題であり、そのための準備をしてゆきたい。さしあたり代表者は、批判理論に関する世界的な活動組織であるICCTP(The International Consortium of Critical Theory Programs)が2023年6月9-11日に韓国の慶熙大学で国際学会を開催する予定(テーマ:Theorizing Global Authoritarianism: To Reclaim Critical Theory Against the Grain)なので、この学会への参加を考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)