Project/Area Number |
21K00045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
若見 理江 就実大学, 人文科学部, 准教授 (40410980)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 三木清 / 西田幾多郎 / 歴史 / 制度 / 領域的存在論 / 弁証法 / 身体 / 超越 / 行為 / ハイデガー |
Outline of Research at the Start |
三宅剛一は、歴史の領域を限界づけて考えることの必要性を主張し、人間の生をまるごと歴史に帰属させる立場を「歴史の不当な全体化」と呼んで批判した。本研究は、「歴史は社会的作用性をもつ行為の連関である」という三宅の定義における「行為」を、西田幾多郎や三木清の「行為」概念と比較検討することによって京都学派の流れに位置づけ、三宅の歴史概念が歴史の哲学的研究に対してもつ意義を示すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
三宅剛一の歴史に関する考察には三木清との共通点が多く見出せる。三宅の論考は説明が断片的であり、三宅の歴史概念を明らかにするには、三木との共通点に即して考察することが必要であると考えた。当初の計画では、2021年度に論文作成を予定し、研究を進めていた。しかし、既刊の論考において三宅は三木についていっさい言及していないため、先に三宅の西田幾多郎に対する立場を明確にする必要があり、これまでの研究を踏まえながら、2023年度に論文としてまとめた。その論文「三宅剛一の人間存在論と三木清の歴史哲学」では、1. 歴史における「現在」、2. 行為、3. 制度、4. 自然と歴史(人間)、という観点から考察し、三宅と三木の共通点を指摘しつつ、三宅の立場は弁証法的な捉え方を退けるという点で三木と異なることを示した。 また、三宅の『人間存在論』をテキストとした読書会を数年続けてきたが、2023年度で区切りをつけることができた。第4章では「西田哲学」が扱われており、第1章「自然(身体)」、第2章「歴史」、第3章「自己」という構成のなかで、第4章は異質に思える。しかし、『人間存在論』を読むと、三宅が第4章で西田に関して指摘している箇所が各章に取り入れられていることがうかがえる。第1章から第3章において第4章の内容がどのように関わっているかを示し、『人間存在論』全体が西田哲学に対する応答となっていることについて発表した。2022年度の論文執筆時には、三宅が取り上げている6つの「西田の歴史的世界の考え方の特質」のうちいくつかは理解が不十分な状態であったが、これにより西田を中心とする京都学派と三宅の歴史概念の関係についてまとめる見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、2021年度に三宅剛一と三木清との関係を明らかにすることを予定し、研究を進めていた。三宅の論考と三木の論考の間には共通点が多く見られ、三宅のいう「歴史の領域」を理解するためには、三木との関係をまず明らかにする必要があると考えたからである。しかし、三宅は三木について何も言及していないため、論文としてまとめるには、西田幾多郎に関する研究を先に行い、三宅と西田との関係を明確にすることが必要となった。そのため、2021年度に予定していた論文の執筆を2023年度に行うことになり、やや遅れている状況が続いたが、2023年度にはおおむね計画どおり研究を進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
三宅の歴史概念について、三宅のテキストに基づいたレベルでは明らかにすることができたと思われる。しかし、三宅自身の論述は断片的であり、説明が十分であるとはいえない。三宅が「歴史の不当な全体化」を批判し、歴史を「社会的作用性をもつ行為の連関」として定義するとき、三宅の歴史概念において、歴史叙述の認識的な立場と歴史叙述が対象とする歴史的生との関係が不明瞭である。そこで、まず、ハイデガーの歴史および歴史性に関する考察に基づいて両者の関係について考えたい。三宅にとって、ハイデガーは「歴史の不当な全体化」の系譜に属しているが、『存在と時間』におけるハイデガーの歴史性概念には、歴史叙述とその対象としての歴史的生との関係に関する観点が含まれている。そして、これまでの研究をもとに、京都学派における三宅の歴史概念の位置づけを明確にする。
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