Project/Area Number |
21K00051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
洲脇 武志 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (10625156)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 『漢書』天文志 / 荊州学 / 蔡ヨウ / 王粲 / 天文学 / 家学 / 蔡謨 / 礼学 / 故事 / 南朝 / 許懋 / 王倹 / 許善心 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、礼学を「家学」とし、その「家学」によって代々歴代王朝に仕え、政治・学術に深く関与しているものの、これまで注目されてこなかった蔡氏(東晋の蔡謨など)・王氏(南斉の王倹など)・許氏(隋の許善心、唐の許敬宗など)の「家学」について、当時の礼学及び礼制度との関係を軸として、彼らがどのように礼学を習得して政治・学術に関与し、「家学」として継承していったかを検討し、当時の「家学」ひいては学術について解明するものである。また、「家族」間だけでなく、彼らが参画した書物の編纂や収集といった文化事業も併せて検討し、それらが「家学」の成立と展開に与えた影響についても考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続いて礼学を「家学」としている一族について検討すべく、魏晋から陳までの正史(『三国志』『晋書』『宋書』『梁書』『陳書』『南史』)を中心として、主に後漢末から南朝陳にかけて活躍した蔡氏に関連する記述を精査した。昨年度は後漢末の蔡睦から陳の蔡凝までの事績を調査したが、本年度は蔡氏の家学の祖と言うべき後漢の蔡ヨウの学問とその影響について検討を進めた。その成果の一部として「『漢書』天文志の注釈と後漢末の学術」(水口幹記編『東アジア世界分析の方法―〈術数文化〉の可能性』、文学通信、2024年2月、p158-176)を刊行した。本論文では、(1)「荊州学」の庇護者である劉表は、戦乱の続く中央から荊州に避難してきた学者を庇護し、学校の設立や五経章句の校訂・経書や占星書の編纂といった学術事業を盛んに起こしているが、その一方で中央からの独立を施行し、天地の祭祀を行うなどしていた。この劉表の行動を踏まえれば、経学だけでなく占星にも注力する一連の学術事業は彼の政治的意図が背景にあると言えること。(2)「荊州学」の中心人物である王粲は、蔡ヨウから高く評価されてその蔵書を受け継ぎ、その結果、蔡ヨウの学術が王粲を通じて「荊州学」に影響を与えたことが先学によって明らかにされているが、その際に蔡ヨウの天文学も荊州に伝えられ、その知識が劉表の天地祭祀や天文占の編纂に活用された可能性があること。(3)前述の王粲、『周易』・『太玄経』など術数学に関する学問にも秀でていた宋忠は後に魏に仕官していること。という以上の3点を指摘し、『漢書』天文志の注釈に引用される人物の多くが三国時代、特に魏の人物が多いことの要因であると結論づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
南北朝から初唐における「家学」の成立と展開を研究する本課題において、本年度はその基板となる後漢末三国時代の学術について検討し、一定の成果を得ることができ、論文として公表することができた。しかし、校務などの事由により本年度実施予定の現地調査が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の考察の結果、蔡氏の家学の初期段階と後世への影響についてその一端を明らかにすることができた。最終年度となる来年度はこれまでの王氏・許氏・蔡氏の家学の研究成果に基づいて、本科研の総括となる研究を行っていく予定である。具体的には「家学と学術事業」(王氏)・「家学の獲得と発生」(許氏)・「家学の変容」(蔡氏)といった点から考察を進める。また、昨年度実施できなかった現地調査も行う予定である。
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