18世紀後半のドイツにおけるヴィンケルマン受容と古代ギリシア・イメージ形成
Project/Area Number |
21K00106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
濱田 真 筑波大学, 人文社会系, 教授 (50250999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | ヴィンケルマン / アレゴリー / 輪郭線 / 観想学 / 可視性と不可視性 / 情動性 / ラーヴァーター / ヘルダー / C.G.ハイネ / J.G. ヘルダー / 古代ギリシア・イメージ / 18世紀ドイツ |
Outline of Research at the Start |
J.J.ヴィンケルマンはドイツ古典主義芸術論を基礎づけた人物として知られるが、本研究では古典主義という枠組みを前提にするのではなく、18世紀後半のドイツにおける古代ギリシア・イメージをめぐるさまざまな議論に即してヴィンケルマン受容の諸相を探る。それによって当時の芸術論の奥行きと射程、古代ギリシア・イメージ形成の内実を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ヴィンケルマンのアレゴリー理解の特徴を、彼の『絵画と造形芸術におけるギリシア美術模倣論』(1755)および『アレゴリー試論』(1766)を中心に探った。それと並行して、彼の議論が18世紀後半のドイツでどのように受け止められたかについて、メンデルスゾーン、レッシング、ヘルダー、モーリッツに注目して考察した。ヴィンケルマンはアリゴリーの働きを多様な文脈で論じており、アレゴリーと象徴およびヒエログリフの違いについて厳密な規定は行っていない。このようなヴィンケルマンのアレゴリー理解に対してはさまざまな反応が見られた。具体的には、芸術ジャンルの違いにおけるアレゴリーの働き、時代・地域・民族によるアレゴリーの捉え方の相違、芸術作品の美とアレゴリーの関係等について多様な議論が展開していくことが確認できた。 さらに本年度は、ヴィンケルマンの芸術論において重要な意味を持つ「輪郭線Kontur」の問題についても考察を進めた。ヴィンケルマンは、不可視のものを可視化する働きだけでなく、情動的な作用も輪郭線に見出し、美術作品における輪郭線の位置づけについて論じたが、ラーヴァーターの『観想学断章』(1775-78)およびリヒテンベルクのラーヴァーター批判を探ることで、ヴィンケルマンの輪郭線理解が観想学(Physiognomik)と情相学(Pathognomik)の両方の要素を備えていることが確認できた。また、輪郭線についての議論がアレゴリーの議論と密接に関わっていることも推測できた。一方、ヘルダーの『彫塑』(1778)では、ヴィンケルマンの輪郭線についての議論が批判的に捉えられて新たな触覚論が提示されており、輪郭線が感覚論との関係から論じられる場合があることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ヴィンケルマン受容の特徴について、特にアレゴリーと輪郭線の問題に焦点を絞って考察したが、思想家によって受容の仕方が多岐に渡り、ヴィンケルマン理解が一方向に収斂するのでなく、いくつもの方向へと分化していく状況が確認できた。またヴィンケルマンの議論を大きく方向転換させる事例も明らかになった。特にヘルダーは、可視性・不可視性の問題との関係で論じられるヴィンケルマンの輪郭線の議論を、触覚の問題という別な観点から捉えなおしており、ヴィンケルマンの理論を批判的に新たな方向へと展開している。この点については、本年度に公表した研究論文のなかで指摘することができた。ヴィンケルマン受容の重層性について考察を進めることで、来年度の研究の足掛かりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度と2022年度に行った研究で、ヴィンケルマンの古代ギリシア理解がひとつの方向に収斂していくのではなく、受容者に応じて多様な方向へと分化していく点を確認することができた。今後もその詳細を個別の思想家に即してより具体的に明らかにしていきたい。また、ヴィンケルマン受容が古代ギリシアイメージ形成とどのように結びついているのかについても考察を進めていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)
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[Book] 啓蒙思想の百科事典2023
Author(s)
日本18世紀学会啓蒙思想の百科事典編集委員会編
Total Pages
692
Publisher
丸善出版
ISBN
9784621307854
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