戦中期日本における音楽分野での対外文化資料に関する研究ー国際文化振興会を中心にー
Project/Area Number |
21K00110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大久保 真利子 九州大学, 総合研究博物館, 専門研究員 (10811052)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 国際文化振興会 / SPレコード / 『日本音楽集』 / 町田佳聲 / 田辺尚雄 / 日本音楽 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、国際文化振興会(1934-1972)が対外文化活動のために制作したオリジナル資料『日本音楽集』(1944年完成、SPレコード60枚組)を対象とし、同振興会が『日本音楽集』に込めた対外的なイメージ戦略を明らかにするものである。具体的には、諸外国が当時抱いていた日本音楽に対する印象について、同振興会がどの程度把握していたのかを探るとともに、レコード集に込められた対外文化資料としての意図について、編集員の言説や新出の解説書をなども用いながら解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際文化振興会(1934-1972)が対外文化活動のために制作したSPレコード集『日本音楽集』を研究対象として、振興会が描いたイメージ戦略や制作の意図を明らかにすることを目的としている。2年目である令和4年度は以下の研究をおこなった。 (1)東京藝術大学附属図書館および東京文化財研究所が所蔵する『日本音楽集』のSPレコード盤(60枚、120面)をすべて閲覧し、レーベル面と刻印の情報を詳細に読み取りデータ化した。その結果『日本音楽集』には市販音源の再録が含まれる可能性が高まったことから、原盤番号の照合および音源の波形分析により裏付けた。加えて刻印に着目することより『日本音楽集』のプレス時期を特定した。 (2)SPレコード『日本音楽集』には、曲目や演奏者、各種目の特徴や曲目解説が書かれた資料が付けられた(以下、解説書)。これまで研究対象としてきたのは a.初プレス盤に対応した手書き未発表の日本語解説書と b.再々プレスの抄録盤に付けられた英語解説書であったが、今年度の調査によって新たに見出した c.再プレスの抄録盤に付けられた英語解説書と d.初プレス盤に付けられた英語解説書も研究対象に加えた。 (3)以上4種の解説書のうち手書き未発表の a.の資料はもっとも大部で詳細に書かれた資料であり本研究の考察において重要な資料であることから、デジタル化を完了し分析を進めている。その結果、町田佳聲(1888-1981)によるこの解説書は初プレス盤として『日本音楽集』が発表された1944年時点では未完成だった可能性が高いことが明らかとなった。 (4)本研究をすすめるなかでSPレコードのアーカイブ化についても考える必要性を感じ、アーカイブに従事する実務家にヒアリングをおこなったほか、九州大学総合研究博物館にて研究会を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は令和4年度前半までに『日本音楽集』の編集委員だった田辺尚雄(1883-1984)の遺品調査を通して制作方針などについてより詳細に探る計画だったが、資料館が長期にわたり休館していたため調査を実施することができていない。また解説書については表記のゆれや術語使用に対する疑問などの洗い出しに予想以上に時間を要し、内容分析については多少遅れている状況にある。 とはいえ盤面からのデータ取得により市販音源の再録やプレス時期の特定など新たな事実も明確にできたほか、4種の解説書を用いた新たな研究可能性を得るなど計画以上の成果が得られている状況にもある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年に入り調査対象の資料館がようやく再開されたことから、まずは集中的に資料調査をおこなう予定である。また4種の解説書については記述内容の照合を通じて各資料の特徴を明らかにし、選曲や演奏者選定の意図などを明らかにしたいと考えている。 そしてこれまでの研究においてさまざまな研究知見を得られていることから、令和5年度は研究最終年度としてそれらの知見を統合し、『日本音楽集』を事例とした戦時期日本の対外文化事業のイメージ戦略について考察を加え総括したい。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)