Project/Area Number |
21K00128
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
北川 純子 大阪教育大学, 教育学部, 研究員 (00379322)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 浪花節 / 浪曲 / 三味線 / ヘテロフォニー / ガイズバーグ録音 / 曲節 / 伝承 / 旋律型 |
Outline of Research at the Start |
浪曲は、声をうけおう太夫(浪曲師)と、三味線をうけおう曲師の二人三脚で実演されるのが基本的上演形態であるが、前者が「家」ごとに「節」を継承させてきたのに対して、後者はほとんど、個から個への伝承という形で「手」を継承させてきた。本研究では、過去の曲師たちの「手」を採譜し、データベース化し、継承のされかたを含めた史的展開を説明しうる理論モデルの構築を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度には、英国グラモフォンの技師フレッド・ガイズバーグが1903(明治36)年に実施した日本出張録音、いわゆる「ガイズバーグ・レコーディングス」に含まれている、初代浪花亭愛造(1870-1906)による6点の浪花節の音盤の音を分析し、愛造の時代から現在に至るまで使い続けられているフシ(例・[道中付け])とその三味線演奏、愛造の時代には使われていたが現在ではほとんど使われていないフシ(例・[カンチガイ])とその三味線演奏、現在では全く使われていないフシ(例・[観音])とその三味線演奏、が混在していることを明らかにした。成果としての論稿は、researchmap上で公開した。「ガイズバーグ録音(1903)での全6点の浪花節の分析」https://researchmap.jp/read0116676/others/42864822。 また、それらのうち「現在ではほとんど使われていない」「現在では全く使われていない」フシに伴われる三味線演奏が、基本的にフシとヘテロフォニーをなす性質をもつことに着目し、早期の(様式としては関東節の)浪花節の特徴を体現している浪曲師・一心亭辰雄の音盤を対象に、フシとヘテロフォニーをなす浪曲三味線の具体的様相を分析した。これについてもresearchmap上で論稿を公開した。「一心亭辰雄《勝田新左衛門(妻子別れ)》にみる『失われた曲節』の痕跡」 https://researchmap.jp/read0116676/others/42744153。 コロナ禍による資料利用制限の影響から、「継承されてきた浪曲三味線演奏」の裏側に存在する「消失してしまった三味線演奏」に目配りするよう研究を軌道修正したことの途中成果を、一定程度得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により資料を使えない時期が長期間続いた中で、研究の方向を一部切り替えて着眼するようになった「継承されてこなかった浪曲三味線の手の在り方を探る」ことについては、一定程度の成果を得、アウトプットを公表した。一方、その方向での研究に相応の時間と体力を使ったことと、資料利用制限が解けたのが2023年初夏であったことの二つの理由により、「こんにちまで継承されてきた浪曲三味線の手の在り方を探る」ことには、ほとんど踏み込めない状態が続いた。
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Strategy for Future Research Activity |
延長期間の一年を使って、現在では消失してしまった浪曲三味線演奏についての考察を完成させる。1930年代に消失したと考えられる浪曲三味線演奏については、前年度までにひととおりの研究成果を得、論稿を公表してきたが、2024年度は、21世紀になって消失した、相対的に新しい浪曲三味線演奏に焦点をしぼり、分析と考察を行う。具体的には、[幸枝節(こうしぶし)]をとりあげる。研究成果については、researchmap上で論稿を公表する。これによって、研究テーマである「浪曲三味線の『手』の史的展開に関する研究」の、いわば裏側の部分、すなわち「継承されてこなかった」浪曲三味線演奏について、かなりの部分を明るみに出すことができると考えている。
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