Project/Area Number |
21K00154
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
|
Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
伊永 陽子 武庫川女子大学, 附属総合ミュージアム, 嘱託研究員 (60896992)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 優香 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 客員研究員 (40413893)
横川 公子 武庫川女子大学, 附属総合ミュージアム, 教授 (50090923)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
|
Keywords | 有職故実 / 平安朝服飾 / 皇室文化 / 王朝文化 / 人形文化 / 近代女子教育 / 学校資料 / 島津製作所標本部 / 人形 / 教育標本 / 有職人形 / 実物教育 / 平安朝文化 |
Outline of Research at the Start |
「有職人形」は高さ約50㎝の立ち姿の歴史的服飾をまとった衣裳人形のことで、旧制女子高等教育機関に残存する教育標本である。現在確認されるだけで研究代表者所属の武庫川女子大学附属総合ミュージアムおよび三大学に20体以上伝来する。天皇を中心に据えた近代国家において、皇室と関係の深かった女子教育機関が有した「有職人形」は、その時代を表す象徴的な資料と見込まれる。しかし、その実態は定かではなく一般に知られざる存在である。本研究は、「有職人形」が近代女子教育において果たした役割に着目し、近代特有の学校教育と皇室文化の関連性を検討し、「有職人形」の実態とその社会的文化的背景を明らかにすることを目的とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、有職人形および関連の人形資料、教育資料を訪問調査する作業を継続した。その結果、新たに有職人形「文官束帯」「女官礼装」2体の所蔵事例を見出した。この事例を踏まえて、現時点において確認できたすべての有職人形事例を対象とした見解を武庫川女子大学附属総合ミュージアム研究報告会において報告発表した(伊永)。 調査において、服装の種類や変遷などを視覚化した掛図や人形などの教育資料があることが判明し、有職人形やそれを用いた教育の周辺を取り巻く時代背景を窺わせる資料として評価できる。また、有職人形自体は現存しないが、近代写真資料の中に有職人形やそれに類似した人形が写っている事例があり、さらなる研究対象の広がりが見込まれた。 同志社大学ハリス理化学館同志社ギャラリーで行われた「公家町が結ぶ同志社大学と華族会館」展では、近代において公家の装束文化が失われることのないように華族会館や宮内省で装束の着付け会が頻繁に行われたことを示す資料など、近代の公家文化、装束文化に関係する新資料が多く展示され、有意義な情報が得られた。人形を専門的に所蔵する岩槻人形博物館では、人形の分類や製作工程、技術についての展示を見学し、人形師の歴史についてご教示いただいた。大阪大谷大学博物館の公開講座「装いの美」講演会では、装束(平安朝服飾)を調進する装束司の仕事について貴重なお話を伺えたほか、有職人形について意見交換を行うことができた。これらを踏まえて、有職人形研究を充実させたい。 そのほか、近代の国際交流として著名な人形文化について、実際にボストンチルドレンズミュージアムに残る雛人形に関して報告を行った(佐藤)。武庫川女子大学附属総合ミュージアム秋季展「近代のきものがみた夢」展図録では、コラムおよび作品解説を執筆する機会を得て、王朝文化を通して近代の美術学校教育について触れた(伊永)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の有職人形調査を超えて、掛図や風俗人形、写真資料など、調査対象が広がったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに研究対象になる有職人形が写った写真資料の調査を行い、学校博物館とその展示物である有職人形について検討する(佐藤・伊永)。近代女子教育の特質について考え、有職人形との関連性を検討する(横川・伊永)。以上と、武庫川女子大学附属総合ミュージアム研究報告会において報告発表した内容を加え、最終的な総まとめを行う(伊永)。 最終年度として、研究成果の一部を武庫川女子大学附属総合ミュージアム展覧会や学会において発表する予定である。また、総まとめの報告書を作成し、これまで訪問調査で撮影してきた有職人形画像と詳細の表を一覧にして所蔵館や関係者に還元する。
|