Project/Area Number |
21K00163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Kyushu National Museum |
Principal Investigator |
川畑 憲子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 室長 (00463505)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 漆器 / 鎗金 / 沈金 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、宋時代から明時代までの鎗金器に焦点を当て、形状・文様・技法に見出される各時代の特徴を、国内外に伝世する作例の比較や科学分析を通じて明らかにし、中国製鎗金器の歴史的な展開を捉えることを目的とする。また、鎗金を視座として日本製沈金器や高麗螺鈿器、琉球製沈金器についても考察を広げ、東アジアにおける漆器の相互的影響についても明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、当初計画に沿って以下の2テーマについて調査を進めた。また収集済みデータの整理・分析を継続し、その成果の一部を公表した。 (1)アメリカ・メトロポリタン美術館、東京国立博物館をはじめ国内外に所蔵される中国製鎗金器を実見にて調査し、各作品の詳細なデータ、各文様や技法の特徴を収集した。また、元時代の鎗金経箱と比較対照するために高麗螺鈿経箱についても並行して調査しているが、国内に伝存する基準作の科学調査を実施し、木地構造・技法に関する貴重なデータを得ることができたのは特に大きな収穫であった。 (2)浦添市美術館、徳之島町郷土資料館をはじめ国内に所蔵される琉球製沈金器を実見にて調査し、各作品の詳細なデータ、各文様や技法の特徴を収集した。また、前年度に科学調査を地視した「黒塗菊花鳥虫沈金丸外櫃及び緑塗鳳凰雲沈金丸内櫃」(沖縄県指定文化財、個人蔵)について、木地構造、蛍光X線分析の結果をまとめ、九州国立博物館紀要『東風西風』19号において公表した。両丸櫃は、伝来からおよその制作時期が推定しうる最古の琉球漆器であり、尚真王下賜以来、祭祀の折以外は外に出ることはなかったと思われ、保存に必要な修理が施されたことを除けば下賜時の状態をほぼ留めている重要な遺例である。両櫃は外櫃、丸櫃の一連とされているが、形状、地漆の色、文様、沈金法といった外見から分かる特徴以外にも、用材の樹種や各部の接合方法といった木地構造も大きく異なっていることを明らかにした。また、合わせて行った無機元素の分析も、他の琉球漆器との比較に役立つ貴重な情報と思われる。 さらに、松浦史料博物館や個人が所蔵する日本製の沈金器を調査する機会を得て、いわゆる和物沈金に関する新規の調査活動も展開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の所期の目的は、対象作品の実見調査・科学調査を行い、収集済みデータの整理・分析を継続することであった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により延期していた海外調査や国内調査を再開し、主要な調査も順当に進捗したほか、データや資料分析も進展、公表するなど一定の成果を得ることができた。以上から、おおむね順調な進展があったものとみなすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き中国製鎗金器、琉球製沈金器に関する作品調査と関係資料収集、分析を進めていく。具体的には、制作年代や来歴の明らかな基準作のうち未調査の作例が主な対象となるが、一定の目途がつけば関連作例に関する新規の調査活動も展開する予定である。 また、遺憾ながら海外での作品調査は資金的にハードルが高い状況と思われるため、基本的には国内で調査可能な作例、購入可能な刊行物、閲覧可能な資料をもとに研究を進めることにしたい。
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