Project/Area Number |
21K00174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
足立 元 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (40532487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 泉 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (30737094)
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70453214)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 現代美術 / オーラルヒストリー / メディアアート / ビデオアート / 美術 / オーラル・ヒストリー / 社会運動 / フェミニズム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1940年代後半以降1990年代までの日本美術を様々なレベルの社会思想・社会運動と絡み合うものとして捉え、主にオーラル・ヒストリー(口述史料およびその研究)の手法を用いて明らかにする。特に、政治・環境・フェミニズム・障害者・技術革新など様々なレベルの思想・運動に注目し、美術が社会と切り結びながら展開してきた有様を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度にインタビュー調査を行ったのは、道下匡子と沖啓介である。 道下匡子(1942-)は樺太豊原市生まれの執筆家で、1960年代から米国に留学、国連本部に勤務しながら滞在し、そのときのグロリア・ステイナムらとの交流から、女性解放運動の理論書などを翻訳し日本に伝えた。帰国後アメリカン・センターに勤めていた道下はジョージア・オキーフを日本に紹介するなどアートとのかかわりも深かった。このインタヴューでは、日米の美術交流について述べてもらうとともに、これまでほとんど詳細が明らかになっていなかった道下自ら手がけた初期ヴィデオアートの作品制作について詳しく述べてもらった。 沖啓介(1952-)は、メディア・アーティストとしてユニークな仕事をしてきた。第1回のインタビューでは主に、生い立ちから、先祖の沖冠岳・沖冠嶺のこと、音楽と美術との出会い、桜町高校で体験した高校生運動、バンド活動、多摩美術大学への進学、李禹煥ゼミ、田村画廊など神田にあった画廊のこと、シュルレアリスムへの考えを聞いた。第2回は、多摩美術大学卒業後の1970年代後半以降の活動についてうかがった。日韓の若い作家たちの協働によって開催された「七人の作家 / 韓國と日本」展(1979年)や、田村画廊・真木画廊とのかかわり、ときわ画廊などで開催した個展・グループ展と作品の変遷、六本木のアートスペースNEWZやビデオギャラリーSCANについて、そして90年代前半まで居住していたニューヨークでの活動などをお聞きした。第3回は、93年に制作した《ブレイン・ウェーブ・ライダー》のこと、その前段階に何があったのか、90年代の文化状況についてうかがった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで5名のインタビュー調査を実施した。インタビュー自体は多くて3日間であるが、実際には、それぞれのインタビューのために、事前と事後の膨大な作業がある。まず、国会図書館や専門の美術館図書室などで綿密な準備調査を行っている。著作、関連文献などを収集し、読み込む時間が必要とされる。さらに、インタビュー後には書き起こしの確認、話者による校正に、事前調査の数倍の時間を要する。 時間の短縮化が課題であるが、同時代の人の話し言葉をそのままオーラル・ヒストリーに残すことはできない。間違いがないか確認すること、話者を含めて誰かの尊厳を傷つけていないか確認することなど、かなりの注意を要する仕事でもある。
また、これまで行ったインタビューの書き起こし、今後のインタビュー候補者の選定を行った。 研究協力者を含めた会合を、9月17日(二松学舎大学)、3月17日(東京大学)で実施した。オーラル・ヒストリーの限界と可能性について話した。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー対象の選定として、1970年代から90年代の美術を語ることができる方々に焦点をあてることになるだろう。もはや1960年代を語ることができる方々はほとんどいない。70年代の文化においては、学生運動とその余波、国際化、コンピュータをはじめとするテクノロジーの進歩、美術にとどまらない他領域の文化の交錯について、インタビューの質問項目に盛り込み、美術史を更新していく。すでに忘れられてしまった事柄、今まで知られていなかった事柄を、明らかにしていきたい。 オーラル・ヒストリーをデジタルデータとしてオンライン上で公開するだけでは、資料保存という観点からの懸念もある。印刷製本したものを寄贈することも進めていく。
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