Project/Area Number |
21K00208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
井上 登喜子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (90361815)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 女性指揮者 / ジェンダー・ダイバーシティ / オーケストラのジェンダー不均衡 / トランスナショナリズム / 音楽家のキャリア形成 / レパートリー形成 / 国際コンクール / 音楽学 / SDGs / ジェンダー平等 / 女性と音楽 |
Outline of Research at the Start |
近年、国際指揮者コンクールで女性優勝者が登場する一方で、主要オーケストラの常任指揮者は男性で占められており、男女平等の演奏機会の確立への道のりはまだ遠い。指揮者の仕事に求められる統括能力と男性性を結びつける考えが、オーケストラ指揮者を取り巻くジェンダーの不均衡を生むとも言われる。 本研究は女性指揮者の「ガラスの天井」の実態とその要因を明らかにすることを課題とし、「能力が等しい場合に、男女間で演奏機会の不均衡が生じているか」「指揮者のジェンダー多様性がオーケストラ・レパートリーに新たな文化的価値をもたらすか」という二つの問いについて、定期演奏会と指揮者のデータに基づく実証研究から明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来、男性中心組織として運営されてきたプロフェッショナル・オーケストラに、女性指揮者が参画することで、オーケストラの演奏レパートリー に新たな文化的価値が創出されるかについて、レパートリー形成の要因にジェンダー観点を加えて実証的に検証するものである。 今年度は、前年度までに取り組んできた問い(仮説)「指揮者の多様性は、レパートリーの多様性を生み出すか」に関する検証結果を総括し、学術書(単著)の一章として執筆した(本書は令和6年度に刊行予定である)。上記の仮説検証のために、日本・ドイツ・米国の代表的なオーケストラの2014年シーズンまでの演奏会曲目(レパートリー)のデータベースを作成し、そこに「指揮者の属性」すなわち、性別・出身・キャリア・国際指揮者コンクール入賞情報を変数として加え、いかなる属性の指揮者が、レパートリー形成の「革新」に寄与するかを分析したものである。本分析により、指揮者の出身国の多様性、ジェンダー多様性(女性指揮者)、年代の多様性(若手指揮者)が、曲目選択における新規レパートリーの導入をもたらすとの統計的有意な結果を得た。 また、女性指揮者の「ガラスの天井」をめぐる問題に関して、音楽家のキャリア形成と芸術的アイデンティティ形成との関わりを、人種・民族・ジェンダー的観点から広く捉えて考察すべく、米国、英国、ポーランド、アジアの研究者との研究交流や意見交換を対面ならびにオンラインで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況としては、下記の通り、当初の計画を一部変更したが、概ね順調に進展している。 当初の計画では、初年度(令和3年度)に、海外と国内の女性指揮者を対象に聞き取り調査を実施する予定だったが、新型コロナ感染症拡大が収束しない状況下での実施は困難であり、中止せざるを得なかった。そのため、当初の予定を変更し、音楽家のキャリア形成と芸術的アイデンティティ形成との関わりについてのジェンダー的観点からの調査研究へと切り替え、国内外の研究者との意見交換等の研究交流を進めて来ているところである。 一方、データベースの構築と実証分析に関しては研究が進展し、手応えのある分析結果を得ており、研究成果の発表にも繋がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、本研究計画初年度にコロナ禍のために中止した女性指揮者への聞き取り調査の代替として、音楽家のキャリア形成とジェンダーの関わりの調査研究を引き続き実施する予定である。令和6年度前期には、米国、英国、ポーランドの研究者との研究交流(講演会や研究会)を計画しており、これらの機会を通して意見交換を図る。また、令和6年9月には、英国オックスフォード大学に訪問研究員として滞在し、英国を中心とする音楽家、音楽プロデューサー、音楽研究者との面会・調査を計画している。以上の調査に基づき、女性音楽家のキャリア形成と芸術的アイデンティ ティー形成に関する考察を進めるとともに、実証研究の検証結果とあわせて、本研究課題の総括を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)