Project/Area Number |
21K00232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
桶田 洋明 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (30336317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 茉莉香 鹿児島女子短期大学, 児童教育学科, 准教授 (60896786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 油絵具 / アクリル絵具 / 絵具層 / 透明度 / 速乾性 / 具象絵画 / 絵具 |
Outline of Research at the Start |
具象絵画に見られる3次元的・立体的表現と絵具層の透明度には相関関係が存在すると仮定し、絵具層の透明度の差異に着目した新たな絵画技法の視点を提示する。また、様々な絵具による絵具層の透明度の差異に関して、数値化が可能な機器での測定によって立体的表現との相関を明らかにすることで、絵画における立体的表現の有無に関する指標を構築する。さらに絵画制作における立体的表現に必要な描画技法の新たな観点を、大学等での授業実践による検証をふまえて編成し提言をする。
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Outline of Annual Research Achievements |
水性絵具における立体的表現と絵具層の透明度との相関関係について、特にアクリル絵具を用いた表現を中心に調査をおこなった。 まずはアクリル絵具と油絵具の特徴を挙げ、相違点についてまとめた。その結果、「簡便性」、「速乾性」、「耐水性」、「耐候性」、「柔軟性」、「接着力」、「被膜の硬さ」はアクリル絵具のほうが優れていることが判明した。また「黄変」もアクリル絵具のほうが変化は少ない。 一方で、「体積変化」、「発色変化」、「光沢度変化」、「透明度変化」に関してはアクリル絵具の変化が多い。「皮膜の硬さ」においては、アクリル絵具・油絵具の双方における展色剤の性質で差が生じており、アクリル絵具のほうが硬い皮膜を形成できる。よって上層の絵具層を研磨して下層の絵具層を表出する際、アクリル絵具による下層の絵具層は堅牢ゆえに鮮明な色彩と平滑なマチエールを維持した状態で出すことができる。 しかしながら、「速乾性」が高いアクリル絵具は、ぼかしの表現がしにくい点に関して短所となり、この表現に関しては油絵具に軍配が上がる。試料や試作品でこれらの性質を検証した結果、油絵具による表現の簡易性を確認できた。けれども、年々開発されるアクリル絵具のメディウム類によってその短所は消えつつあることも、調査によって判明できた。 関連して、各絵具メーカーが販売している油絵具・アクリル絵具の透明度の有無についても調査し、油絵具のほうが透明度の高い種類が多いことを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料と試作品によるアクリル絵具・油絵具による表現に関してはほぼ予定通り進んでいる。特にアクリル絵具において、乾燥速度を弱めたアクリル絵具やグレーズ等の技法に特化したメディウム類が絵具メーカーによっては販売されていることが明確となった点は、新たな成果である。 これらは従来の乾燥遅延メディウムとは一線を画すものであるため、(現時点ではこれらの製品の詳細な調査をしていないため記述を控えるが、)アクリル絵具のウィークポイント減少につながる製品のひとつとなり得る。以上の結果から、アクリル絵具を用いた表現を中心とした研究の比重を高めることとした。 また、アクリル絵具と油絵具の併用・混合技法による効果に関しても、実制作で明らかにすることができた。両絵具による併用は、アクリル絵具による軽快な色調と、油絵具による重厚で透明感のある画面の獲得が可能となるため、独創的な作品を創り出すことができるといえる。 アクリル絵具・油絵具の特性をさらに検証して、立体的表現に適した技法の集約をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
以下3点の項目について重点的に研究を進めていく。 1点目は、アクリル絵具・油絵具を中心に筆頭に、検証済みの絵具メーカー別の絵具の透明度を生かした試料・試作品を制作し、各メーカーの特徴について確認する。また特にアクリル絵具のメディウム類である乾燥遅延剤や透明度増量剤などの特質についても調査をおこなっていく。油絵具に関しては、添加するオイルの種類に応じた透明度・光沢度の変化を中心に調査を進める。 2点目は、絵具メーカーと連携し、絵具の特性等について再確認をしていく。特にアクリル絵具に関して、バニーコルアート社の担当者と連携し、絵具の透明度・乾燥速度等について調査を進めていく。また引き続き、画面に重層している絵具の色調を色彩計で測定して、絵具の透明度と空間表現との相関について検証していく。 3点目は、絵画作品の試料として、同一モチーフで絵具の透明度に差をつけて描いた試作品を制作し、それらを基に立体的な空間表現の有無に関して官能検査を引き続き実施する。その後、工業技術センター等との協議をおこない、効果的な検証方法の有無を模索し、実践していく。 最終的に、アクリル絵具・油絵具を中心とした絵具の透明度と立体的表現との相関について、具体的に導き出していく。
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