Project/Area Number |
21K00258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉岡 公美子 立命館大学, 法学部, 教授 (80240240)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
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Keywords | 19世紀 / 米国史 / 人工哺育 / 小児科学 / 19世紀アメリカ史 / 小児科学史 / 乳児用調整乳 / 19-20世紀米国 |
Outline of Research at the Start |
従来、人工哺育の普及拡大は哺育の科学化・医学化がその主因と信じられてきた。本研究は、その「科学」がいかように生成されたかを問う一環として、ハーバード大学医学校初の小児科学講座正教授トマス・モルガン・ロッチが、病理学(白血球の顕微鏡観察)から人工哺育研究に進み、やがて小児科学会や小児病院で活躍するに至った背景を微視的に検討する。 とくに注目するのは、クエーカーからユニタリアンに転向したエリザベスとメアリー姉妹(曾祖伯叔母)の系譜である。フィラデルフィア生まれのT・M・ロッチがボストンで小児科学教育研究や公衆衛生、社会改良に心血を注ぎ生涯を終えたのは、ロッチ家の女性たちの影響が大きかったと思われる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ハーバード初の小児科学正教授とされるThomas Morgan Rotchは、所属ラボを主宰していたHenry Pickering Bowditch経由で、C. LudwigらドイツとりわけLeipzigの実験科学の影響を強く受けたphysiologistであったことが判明した。1873年学生時代の受賞論文もそれを示している。従来の哺育史では、H. P. Bowditchは臨床観察を重視するフランス医学の流れに位置づけられ、また、BowditchとRotchの直接的繋がりは記されてこなかった。J. H. Warnerらの先行研究を踏まえ、解剖を含む実験科学、機器の開発を含む測定重視の一派が米国医学史にあったこと、百家争鳴の"sects"が乱立し派遣を争う19世紀米国の「医師」を単一のまとまったエリート集団と見なさない哺育史を著す必要性がはっきりした。 米国小児科学の父と言われるAbraham Jacobiの講演録Infant Diet (1873)とその拡張版とされるMary Putnam Jacobi(3人目の妻)編集のInfant Diet (1874)を比較検討したところ、A. Jacobiはむしろ従来の乳母・看護師らの哺育法を継承しており、「科学化」に貢献したのは(男性エリートではなく)実験医学・生理学を重視する女医Mary Putnamのほうであったことが示唆される。 一方、H. P. BowditchとT. M. Rotchはいずれも、Charles S. Peirceと、欧州およびハーバード大学で接点があり得たと判明した。パーセンテージ法人工哺育は、Pearsonを先取りしたと言われるPeirceの統計学をふまえた医学の嚆矢として見直す必要がある。後年、「数学か高等天文学のよう」と非難したBrennemann医師には、統計学的思考が理解不能だったのではないか。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自身や家族の健康状態にも鑑み、当初計画通りに渡米して一次資料を確認することが躊躇われる。主に電子化された史料をもとに、研究テーマも調整しつつ、可能な範囲で研究をすすめている。 当初、日本語での成果公表を目論んでいたが、英語媒体も含め広く公表の機会を探ることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の哺育史には登場しないHenry Pickering Bowditch、Mary Putnam Jacobiが果たした役割を書き加えることによって、19世紀末から20世紀初頭の米国の人工哺育史を再構築する。一見、偏狭なな個別的テーマであるが、T. M. Rotchの「ファミリービジネス」としての従来よりも解像度を上げた人工哺育史の記述を通じて、女性史や医学史の下位部門ではない、もう一つの人工哺育史をめざす。 科学化・男性化という普遍的枠組みに拘泥しすぎず、超越主義と近しかったホメオパシーなどを含め医師集団内部のいわゆるsect間の力学、医師免許制度、医学教育、高等教育制度(C. S. Eliot学長の改革)、慈善・寄附、出版事情、プラグマティズムとハーバード小児科学講座の関係など、欧州とは異なる米国固有の事情を具体的に検討する。 これによって、ボストンにおける繊維産業(木綿・羊毛)のネットワークと医家の家系の重なり、獣医学・動物実験とヒトの医学を横断する基礎医学(生理学)、信仰と生活文化、奴隷制廃止論、捕鯨・貿易業、気象学・保険と統計学、牧畜・酪農・乳業などを視野に入れた、従来よりも多角的・越境的な検討が可能になると信じる。 T. M. Rotchの祖父(母方)の妹Ann Waln Morganの日記、Rotch家・Rodman家の女性たちの手紙などの史料収集に務め、編集され公刊された資料(Margaret Fullerの書簡など)と照合しつつ検討する。
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