Project/Area Number |
21K00262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 史果 富山大学, 学術研究部人文科学系, 講師 (20828868)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 十返舎一九 / 滑稽本 / 噺本 / 洒落本 / 黄表紙 / 戯作 / 表記 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、近世後期の戯作者、十返舎一九の著作について表記・表現の観点からその特質を解明する。『東海道中膝栗毛』の作者として知られる一九の膨大な著作の中でも、とりわけ大きな位置を占める会話体形式の作品を対象として、表記・表現面における特色とその変遷について検討を加え、一九の編集意識および文芸領域に対する認識について明らかにする。また、その成果を踏まえ、作品の成立背景・出版状況・時代性を複合的に勘案し、一九の執筆活動における“転機”について見きわめるとともに、新たな視点から近世文学史上における一九作品の画期性について解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、十返舎一九の膨大な著作の中でもとりわけ大きな位置を占める会話体形式の作品を対象として、表記・表現面における特色とその変遷について検討を加え、一九の編集意識および文芸領域に対する認識について明らかにすることを目的としている。 2022年度は十返舎一九の手がけた噺本を中心に研究を進めた。 『道中膝栗毛』執筆にあたり、物語の素材・題材として既存の噺本における「落咄」を活用していた一九だが、自身もまた、噺本の制作に携わっていた。序跋に一九の名がみえる噺本は、少なくとも三〇種前後にのぼるが、改題本や改竄本が多く、一九自身の関与の度合いが明確でないものも多い。 そこで、これまでに収集した噺本の原文(複写)を比較検討し、一九の関与の程度について検証および特定をおこなった。具体的には、作り手の編集意識が表出しやすい表記・表現面に着目し、一九が「目で読んで笑う」ことを意図して自ら編集をおこなったと考えられる作品(五作)を識別、それらの特質について確認した。また、同時代の他作品との比較を通して、上記の検討で明らかとなった特質が、一九独自の表現手法によるものであることを指摘した。 また、その成果については、学術論文「十返舎一九の噺本にみる表現手法」(『日本文学 』第71巻10号、2022年10月)として発表した。 今後は一九の手がけた多様な文芸領域の作品の比較検討をおこなうことで、一九の文芸領域に対する意識とその変化についても明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、前年度に引き続きwebサイトおよび研究機関で公開されている資料のうち、十返舎一九の手掛けた会話体文芸について調査・研究を進めた。 画像が公開されておらず、内容が確認できない資料については、実地調査をおこない、書誌情報の収集及び画像の撮影をおこなう予定であったが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、原本の調査を控えたため、次年度に延期することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は資料調査とこれまでに収集した資料の検討を合わせて行っていく。 国文学研究資料館・国立国会図書館をはじめとする研究機関のwebサイトで公開されている資料のうち、一九の手掛けた会話体文芸における特質について調査・研究をおこなう。 また、引き続き「十返舎一九年譜稿」(中山尚夫『十返舎一九研究』所収、おうふう、2002年)に基づき、収集した作品を成立順に整理し、その表記・文体・表現の特徴について調査するとともに、文芸領域別に一覧を作成する。 また初板が現存していない『道中膝栗毛』初編に注目し、二編以降および同時期の執筆作品との比較検討をおこなうことで、一九の会話体が確立した時期について特定する。 さらに、各作品における表記・表現の特質を検討し、一九の編集意識および文芸領域に対する認識とその変遷について明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)