近世後期における中世王朝物語研究の継承と展開―黒川春村『古物語類字鈔』を中心に
Project/Area Number |
21K00281
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小川 陽子 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (50512266)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 物語目録 / 黒川春村 / 古物語類字鈔 / 物語書目備考 / 田中大秀 / 中世王朝物語 / 作り物語 / 雲隠六帖 / 物語享受史 / 和学者 |
Outline of Research at the Start |
近世後期に複数作成された物語目録のうち黒川春村による『古物語類字鈔』を主たる研究対象とし、同書と春村前後の物語研究とを比較検討することにより、【Ⅰ.近世後期における中世王朝物語研究の実態】と【Ⅱ.Ⅰの明治期における国文学研究への継承・展開】について明らかにする。物語目録は和学者たちのネットワークの中で情報を共有しながら徐々に拡充された。目録における個々の物語に関する記載と、各物語伝本の書き入れや注釈から得られる情報等を照らし合わせ、上記Ⅰについて解明する。また明治期における『古物語類字鈔』の書写・所持・参照を手掛かりとして、その関与者および周辺人物による物語研究を確認し、Ⅱへと研究を展開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、黒川春村『古物語類字鈔』を主たる研究対象とし、同書と春村前後の物語研究とを比較検討することにより、【Ⅰ.近世後期における中世王朝物語研究の実態】と【Ⅱ.Ⅰの明治期における国文学研究への継承・展開】について明らかにすることを目的とする。本年度は、昨年度の研究成果に基づき、主に『物語書目備考』『石清水物語』『雲隠六帖』および田中大秀の作成した目録類の研究に取り組んだ。 (1)『物語書目備考』 昨年度の研究活動により現存諸本をほぼ入手し得たため、諸本展開の具体相ならびに『古物語類字鈔』との関係性について、整理・考究した。 (2)『石清水物語』 昨年度の資料調査により発掘した享受資料の検討を進めた。当該資料と深く関わると思しき足代弘訓について、その活動の足跡を具体的に解明すべく、物語関連書を中心に資料収集に努めた。 (3)『雲隠六帖』 昨年度末に新たに見出した写本を入手し、研究に着手した。①伝本二種の中間的な本文を有する、②寛文9年から明治35年に至る3種の奥書を備え、かつ他2作品と合写されており、近世から近代にかけての『雲隠六帖』享受の具体相を知りうる、という2点において、きわめて重要な一本であることを明らかにした。その成果は古典研究会(2022年12月、於広島大学)にて口頭発表し、次年度には雑誌論文として公刊することが決定している。 (4)田中大秀の作成した索引類 飛騨の国学者・田中大秀の作成した中古散文関係の目録5点について、原本調査を行った上で、黒川春村の作成した目録との比較等を通して、その特徴を明らかにした。その成果は次年度刊行の論集に掲載が決定している。 そのほか、春村の関与した物語類を中心に中世王朝物語の享受資料について個々に検討を行った。また、昨年度の国際学会における口頭発表を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により十分な出張調査はできなかったが、岐阜県内において田中大秀の享受資料を実見調査したり、昨年度に発掘した『石清水物語』享受資料および『雲隠六帖』新出写本を中心に、研究計画立案時点で想定していた以上の範囲へと研究を広げたりすることができた。また、オンラインおよび対面の学会・研究会へ積極的に参加し、研究発表および情報交換を行うことができた。よって、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度および今年度の研究活動により、本研究を立案した時点では想定していなかった『石清水物語』および『雲隠六帖』の近世期における享受に具体的に切り込むことが可能となった。いずれも従来の中世王朝物語享受史研究では把捉し得なかった部分であるため、当初の予定を一部変更し、これらの研究にも引き続き積極的に取り組むこととしたい。 令和5年度はEAJSでの研究発表申込が受理されたため、国内外の研究者との情報交換をいっそう行い、研究の推進に努める。 また、令和5年度より所属機関が変わり、閲覧可能となる典籍およびデータベースが増えるため、それらを積極的に活用していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)