横光利一の直筆原稿とメディア検閲に関する国際的研究
Project/Area Number |
21K00313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十重田 裕一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40237053)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 横光利一 / 校正刷 / メディア / 検閲 / 占領期 / プランゲ文庫 / 内務省 / GHQ / 直筆原稿 / 日本文学 / 出版 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、20世紀前期日本で活躍し「文学の神様」と称された作家、横光利一(1898~1947年)の直筆原稿から雑誌・新聞等の初出、さらには単行本の本文に至る生成過程を総合的に解明することを目的とする。その解明にあたっては、直筆原稿および校正刷を網羅的に収集・分析すると同時に、内務省とGHQ/SCAP(General Headquarters/Supreme Commander for the Allied Powers)の検閲を視野に入れ、二つの検閲と葛藤しながら創作した作家の格闘の軌跡に焦点を当てることを特に重視する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も研究を十分に進展させることができた。2023年4-6月にはUCLA客員教授、8月にはスタンフォード大学客員研究員として海外研究機関で研究・教育に従事、UCLAでは国際シンポジウムを、スタンフォード大学では国際ワークショップを共同で企画し実施した。また、Hirokazu Toeda “Fractured Words, Fractured Worlds:On Yokomitsu Riichi and the Ruins of Infrastructure”(Association for Asian Studies (AAS) , Sheraton Grand Seattle and the Seattle Convention Center,March 17 2024)を発表、研究成果の国際発信を行った。本研究課題に深く関連する研究成果に、米国メリーランド大学図書館ゴードン・W・プランゲ文庫所蔵資料を活用した、十重田裕一「占領期日本の文学者と編集者をめぐるメディア検閲ーープランゲ文庫所蔵の横光利一『旅愁』と検閲済み校正刷の再検討」(『國語と國文學』第100巻10号、2023年10月、 pp. 1-18、東京大学国語国文学会)がある。他にも、十重田裕一「美しい日本と美しくない日本ーー川端康成と松本清張の点と線」(『川端文学への視界』第38号、2023年7月、pp. 44-53、川端康成学会)、十重田裕一「上京者たちによる新しいメディアの創造と発信ーー『文藝時代』創刊と新感覚派の東京をめぐって」(『横光利一研究』第22号、2024年3月、pp. 16-26、横光利一文学会)、十重田裕一「本の民衆化を目指してーー「文化の配達人」の肖像」(安倍能成『岩波茂雄伝』2023年8月、pp. 581-591、岩波書店)などを通じて、新感覚派文学と同時代メディアの研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度も研究は順調に進展した。当該研究課題の中心となる研究成果は、Hirokazu Toeda “Fractured Words, Fractured Worlds:On Yokomitsu Riichi and the Ruins of Infrastructure”(Association for Asian Studies (AAS) , Sheraton Grand Seattle and the Seattle Convention Center,March 17 2024)と十重田裕一「占領期日本の文学者と編集者をめぐるメディア検閲ーープランゲ文庫所蔵の横光利一『旅愁』と検閲済み校正刷の再検討」(『國語と國文學』第100巻10号、2023年10月、pp. 1-18、東京大学国語国文学会)である。後者の論文では、メリーランド大学図書館ゴードン・W・プランゲ文庫で新たに確認された横光利一の戦後版『旅愁』第一篇関連資料を紹介すると同時に、これを活用しながら戦後版『旅愁』成立の再検討を行い、GHQ/SCAPの検閲と自己検閲が錯綜する占領期メディア検閲と文学をめぐる重要な側面を解明した。十重田裕一「上京者たちによる新しいメディアの創造と発信ーー『文藝時代』創刊と新感覚派の東京をめぐって」(『横光利一研究』第22号、2024年3月、pp. 16-26、横光利一文学会)では、新感覚派の横光利一・川端康成・片岡鉄兵の三人を中心に、新たなメディア環境の中で『文藝時代』がいかに創刊されたかを考察した。当該研究を発展させた研究成果に、横光利一とともに新感覚派文学を牽引した川端康成を対象とする論文、十重田裕一「美しい日本と美しくない日本ーー川端康成と松本清張の点と線」(『川端文学への視界』第38号、2023年7月、pp. 44-53、川端康成学会)がある。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に4年間で計画した研究は3年間でほぼ達成することができた。十重田裕一『横光利一と近代メディア 震災から占領まで』(岩波書店、2021年9月、pp.1-416)を2021年9月に上梓し、さらに、十重田裕一「横光利一における本文研究の可能性――直筆原稿・メディア・検閲」(『横光利一研究』第20号、2022年3月、pp.103-108)、十重田裕一「横光利一の時代とメディア 二つの言論統制との葛藤」(『図書』第888号、岩波書店、2022年12月、pp.32-36)、十重田裕一「占領期日本の文学者と編集者をめぐるメディア検閲ーープランゲ文庫所蔵の横光利一『旅愁』と検閲済み校正刷の再検討」(『國語と國文學』第100巻10号、2023年10月、 pp. 1-18、東京大学国語国文学会)、十重田裕一「上京者たちによる新しいメディアの創造と発信ーー『文藝時代』創刊と新感覚派の東京をめぐって」(『横光利一研究』第22号、2024年3月、pp. 16-26、横光利一文学会)と着実に研究論文を発表した。また、十重田裕一『川端康成 孤独を駆ける』(岩波書店、2023年3月、pp.1-286)のなかでも、横光利一について多くの紙幅を割いて考察、20世紀の日本文学とメディアとの関連の解明を行った。こうした研究成果を踏まえて、本年度は横光利一の直筆原稿の調査と考察を継続的に実施する。それと同時に、現在出版の準備を進めている、海外の大学出版会から刊行予定の編著書の編集と論文執筆と、研究成果に基づく講演を海外で行う予定である。また、本研究を発展させて、次の研究計画を策定することを検討中である。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)