魏晋南北朝期における『楚辞』文学の変容と影響――楚歌・屈原イメージ・遊行
Project/Area Number |
21K00323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大野 圭介 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (30293278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 雄史 長崎外国語大学, 外国語学部, 教授 (10325566)
矢田 尚子 東北大学, 文学研究科, 教授 (10451494)
谷口 洋 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40278437)
田宮 昌子 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (70316199)
田島 花野 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (70757997)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 魏晋南北朝 / 楚辞 / 楚歌 / 屈原 / 遊行 / 九歌 / 騒体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は以下の課題を研究期間中の目標とする。 1.魏晋南北朝期における楚歌形式(『楚辞』九歌に似た形式)の歌謡が『楚辞』を継承していった過程の解明 2.魏晋南北朝期の諸作品における、屈原に象徴される賢人失志(高い志を持ちながら君主に受け入れられない賢者の嘆き)のイメージとその表現が変遷する過程の解明 3.『楚辞』における遊行の描写が魏晋南北朝の詩歌に摂取され、変容した過程の解明
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究代表者及び分担者の研究分担に従ってそれぞれ研究に着手し、2023年9月にオンラインで、2024年3月に対面で例会を開催して進捗状況や研究方針を確認した。各分担における進捗状況は下記の通り。 (1)楚歌形式歌謡:谷口は第15届国際辞賦学学術研討会における口頭発表「略論漢魏六朝辞賦中的楚歌体」で、後漢から魏晋南北朝期に離騒体の辞賦が流行する一方、後漢から九歌体の辞賦が現れて建安期に最も流行し、特に民歌の風格と詩意の強い「山鬼」の影響が大きかったことを指摘した。大野も3月例会にて、六朝期の「兮」字を含む形式の詩歌は魏晋以後そのテーマが多様化していく一方、神話的な雰囲気は薄れていくことを指摘した。また矢田は六朝期に離騒よりも九歌や九辯が楚歌として認識され、その評価が高まった理由について分析し、論文「楚辞「哀時命」試論 ―遊戯文学的側面に着目して―」として発表した。田島は中国語学の観点から王逸注の分析を行い、論文「『楚辞章句』「招隠士」注の押韻」を発表した。野田も『楚辞』と楚歌に関する既発表論文をベースに、音韻学の観点から楚歌形式歌謡の分析を続けている。 (2)屈原イメージの受容と変容:田宮は昨年度に続いて『楚辞後語』収載作品の魏晋南北朝の部分についての分析を進めている。また3月例会にて大野は魏晋南北朝期の楚歌に屈原はほとんど名残をとどめていないことを指摘し、谷口も後漢の張衡「思玄賦」以後、屈原を通さなくても自分自身の賢人失志を歌えるようになったことを指摘して、今後の研究への道筋を示した。 (3)遊行の描写:3月例会にて谷口が魏晋以後の遊行は屈原の遊行ではなく詩人自身の遊行へと変容していることを指摘した。大野と矢田は『楚辞』における遊行に関する既発表論文をベースに、六朝文学における遊行の描写についての分析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者・分担者それぞれ研究方針を確認して準備や成果発表を行っているものの、新型コロナの影響による研究遂行の支障や学会開催の遅延による遅れを取り戻すに至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続いて各項目を分担して分析作業を進め、オンラインと対面とで連絡を保ち、必要に応じて方針の修正を図りつつ全体としての成果をまとめる。10月の日本中国学会開催時までに作業の進捗状況確認を兼ねた研究会を開催して国際学会での成果発表に向けての準備を行い、3月に例会を開催して本年度の研究取りまとめを行う。 大野は研究全体の統括を行うとともに、谷口と連携を取りつつ魏晋南北朝の楚歌形式の詩歌を精査する。矢田は「山鬼」に顕著な閨怨のイメージを中心に、魏晋南北朝期における「山鬼」の影響を探り、野田は宋玉詩や宋玉が登場する作品についての検討を行う。田島は王逸注の分析から漢代の韻文注について検討し、田宮は引き続き南宋・朱熹『楚辭後語』収録作を手掛かりに、楚歌・屈原イメージの系譜を通時的に俯瞰しつつ、魏晋南北朝期の特徴を把握することを目指す。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)