『参天台五臺山記』を援用した漢文手紙文書の運用実態解明に向けた研究
Project/Area Number |
21K00335
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 孝子 広島大学, 外国語教育研究センター, 准教授 (10746879)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | 書儀 / 手紙 / 『新集雑別紙』 / 『記室備要』 / 月儀 / 参天台五臺山記 / 成尋 / 『参天台五臺山記』 / 書簡 / 東アジア漢字文化圏 |
Outline of Research at the Start |
成尋『参天台五臺山記』には、漢文手紙文書(私信)の本文が複写・記録されるだけでなく、多くの場合その授受に関するいきさつも書き残されている。本研究では、これらの文書について、同時代の書儀や敦煌発見の書簡実物と比較しながら、形式や内容について検討する。誰〈差出人〉が、誰〈受取人〉に、どのような書式で、どのような手段・方法・経路によって、どのような情報を伝達するのか、多角的に分析し、一覧をまとめる。その性格や位置づけを明らかにし、当時日常的に使用されていた漢文手紙文書の全体像の把握につなげる。
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Outline of Annual Research Achievements |
表状箋啓書儀は、体系的にまとめられた吉凶書儀と比べると、雜多な文例の寄せ集めといった印象を与え、各書儀の内容や構成、文例の排列順序に共通性・規則性を見出すことは難しい。しかしながら、一部には、一年十二ヶ月の挨拶の手紙の文例を月ごとに並べた形式が採るものが含まれている。本年度は、表状箋啓書儀のうち、特に月儀に類する形式に焦点を当て、その成書や伝播の過程について研究を進めた。全体として、書儀の史的変遷を跡づける作業が一歩進んだと言える。 『記室備要』については、P.3723、P.3451Bis、S.5888の三写本が現存するが、月儀部分が残るのはP.3723のみである。比較対照な部分について、標題や呼称、「厶」字の使用状況などを見ると、P.3723は意図的に改編が加えられたテキストであり、模範性・虚構性が高められていることがわかった。月儀部分についても、各月二通一組の往復書簡ではなく、ひと月当たり三通の文例を収録する点や節日の送物・賀状等が紛れ込んでいる点など、一般的な月儀とは異なる特徴を持つことを明らかにした。 『新集雑別紙』については、写本には「月旦賀官玖拾貳首」とあるものの、実際に記されている文例の数は16首のみである。この16の文例の特徴を分析し、それに基づき本来92首の構成の復元を試みた。92が12の倍数ではないこと、「賀冬(冬至の賀状)」が残っていることなどから、「月旦賀官」とあるものの、実際には毎月ついたちの文例のほかに、節日の賀状があわせて収録されていたであろうこと、各月相手の身分に合わせた複数の文例が示されていたことが見えてきた。また、これらの特徴は同時代のほかの書儀との共通するところがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伝統的な月儀と表状箋啓書儀に見られる月ごとの文例の関係について分析し、表状箋啓書儀の編纂の過程が少しずつ明らかになってきた。書儀の分類方法(朋友書儀・吉凶書儀・表状箋啓書儀の三分類)の見直しに関して、書儀の編纂過程から検証する作業はおおむね順調に進展しているといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
書儀の編纂と手紙の作成について、引き続き分析を進めていく。表状箋啓書儀が記される写本の形態もまた書儀としての性質を考える上で重要な手掛かりである。フランス国立図書館などで、『記室備要』や『新集雑別紙』の冊子本に書写される書儀と、数点の手紙の実見調査を行いたいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)