Affect and Empathy in Contemporary British Fiction after Crisis
Project/Area Number |
21K00354
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
板倉 厳一郎 関西大学, 文学部, 教授 (20340177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 英米文学 / イギリス小説 / 危機 / 情動 / 9/11同時多発テロ / イスラム国 / 医療の政治化 / 難民 / アフガニスタン / SNS / 共感 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、9.11同時多発テロ、イスラム国、ヨーロッパ難民危機、EU離脱をめぐる混乱といった「危機」後のイギリス文学(移民・難民の出自を持つ作家を含む)の情動構造を解き明かすものである。9.11同時多発テロ事件の余波で生み出された作品群とイスラム国や難民危機を扱った新しい作品群を対象とし、それらが不安や苦痛を増幅したり、共感を喚起したりする構造を説き明かす。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年7月に、Crisis and the Culture of Fear and Anxiety in Contemporary Europeがラウトリッジ社より出版された。この論文集には、板倉が寄稿した"Virtual Terrorists, Virtual Anxiety: Affect and Technology in Kamila Shamsie's Home Fire"が採録されている。これは、カーミラ・シャムシーの『ホーム・ファイヤー』が、親族のイスラム国参加という極端な状況を通して、オンラインコミュニケーションアプリとSNSによる情動の増幅という身近な危機を活写していると論じたものである。 また、同月、『関西大学東西学術研究所紀要』56号に論文"The Lawyer’s Scarf, the Banker’s Waning Testosterone: A Most Wanted Man and the Post-9/11 Politics of Emotion"が掲載された。 さらに、『関西大学東西学術研究所紀要』57号に"Plumbing Ethically: A New Pastorate in Ian McEwan’s Saturday"を寄稿し、審査後掲載が決定している。これは、イアン・マキューアンの『土曜日』を医療従事者の持つ「司牧権力」(フーコー)という視点から読み直したものである。本作品におけるイラク戦争をめぐる議論が古くなった現在、主人公のペロウンに対する違和感が彼の医師としての権力によるものだという解釈を提示した。 2024年2月には関西大学東西学術研究所例会で「ブレグジット以降の<田舎と都市>──アリ・スミスの四季四部作を読む 」を発表した。これは、アリ・スミスの四季四部作に彼女なりのディケンズの再解釈を見いだそうとしたものである。これを足がかりに、現在では四季四部作について二つの論考を準備中である。 なお、本研究とは直接関係ないが、書評や語学教材の作成を通じてイギリスの福祉国家政策とEU離脱をめぐる議論を見直すことができ、この研究課題に関わる新しい着想を得たことも付言しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すでに報告済みの2021年度・2022年度の遅れを取り戻すには至らなかったため。なお、2021年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、2022年度は校務負担の大きな年度であったため、研究に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には現在進行中のアリ・スミスの四季四部作研究を行い、しかるべき場所で公表できるようにする。同時に、2021年度中に海外雑誌で不採用にされた論文の再検討をおこなう。 現代英文学における難民および難民政策の表象だけでなく、イザベラ・ハマッドの『亡霊登場』のようなパレスチナを舞台とした作品も検討したい。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)