Project/Area Number |
21K00368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
原田 美知子 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (00291865)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | イェイツ / アイルランド / バラッド / アメリカ / W. B.イェイツ / アメリカの歌 / W. B. Yeats / アメリカ講演旅行 |
Outline of Research at the Start |
晩年の『最後の詩集』に至って、イェイツが57篇中28篇までもリフレインを特徴とする歌(バラッドやソング)の形式を用いて詩を書いた意味について、これまで多くの研究はなされていない。若返りの手術を受けたこと、当時付き合いのあったオリバー・ゴガティの猥歌に影響された等、イェイツ晩年のバラッドが破礼歌に近いものもあったせいで、詩のスタイルに注目したヘレン・ヴェンドラーの研究以外は、テーマの類似性に焦点をあてた論文が大部分である。本研究では、イェイツが晩年バラッドにこだわった理由に、アメリカの歌の影響を探るという、これまでにない視点で取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
9月16日より約半年、学外研修の機会を得てテキサス州立大学オースティン校のHarry Ransom Centerでイェイツ関連の資料にあたった。HRCには今回の研究テーマであるイェイツとアメリカの音楽の影響を探る根幹となる、イェイツが音楽をどの程度解したかについてさまざまな意見を収録したラジオ番組のスクリプトが収蔵されており、それを読むことができたのは大きな収穫だった。R・エルマンが評伝の中で、イェイツがメロディを聴き分ける耳を持っていない旨のことを書いて以来、イェイツと音楽についての考察を深めようとすると、「イェイツには音楽がわからなかった」という先入観をもつ人々を納得させることから始めなければならない困難を覚えたが、今回の調査により、より説得力のある論を展開できるようになったと思う。 その上で、イェイツが1930年以降、カウボーイ・ソングやカウボーイ小説を読み漁っていた事実に注目しながら、イギリス中世の読み人知らずのバラッドとアメリカのカウボーイ・ソングに共通する韜晦性、民衆に受け入れられ書き換えられていく自由、意味のないお囃子風のリフレインなどを通して彼がバラッドの魅力を再発見していく過程を辿り、なぜ老詩人が晩年に精力的にバラッド創作に打ち込んだのかを自分なりに考察した。 そして、これまでファシズムへの傾倒を示す作品と解釈されてきた詩”Three Songs to the Same Tune”をまったく異なる視点、ヨーロッパから伝わったバラッドがアメリカで生き続け、新しい歌となってリユースされていく「歌の永続性」を実現するものとして書かれた可能性を示した。 執筆完成した論文をInternational Yeats Studies(国際イェイツ協会の学会誌)に投稿した。査読結果は4月末または5月初旬に出ると編集者に連絡を受けているが、まだ結果は出ていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究途中の成果物として、2022年の『イェイツ研究 第53号』(日本イェイツ協会学会誌、発行は2023年3月)に「Music for WordsからWords for Musicへ」題した研究ノートを発表した。 2023年9月半ばからテキサス州立大学オースティン校のHarry Ransom Centerでイェイツ関連の資料を調査し、その成果として'”Three Songs to the Same Tune” in terms of Cowboy Songs'と題する論文をInternational Yeats Studiesに投稿した。査読結果は4月末または5月初旬に出ると編集者に連絡を受けている。但し、昨今の特にアメリカの大学におけるパレスチナとイスラエルをめぐる学生による平和活動と大学当局の対立による学期末試験、卒業試験の中止、延期による混乱ぶりをニュースでみていると、査読結果の遅延が予想される。 イェイツがアメリカでどんなものを見聞きしたかを探るため、学外研修中にイェイツが5回のアメリカ講演旅行で訪れた地(特にデトロイトのフォード博物館など)にできるだけ足を運びたいと思っていたが、1月半ばに階段を踏み外し、重症の捻挫を負ってしまい、それ以来、遠出ができない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
査読結果が出た時点で、論文に関してはどうするかを決める(書き直すか、新たな投稿先を探すか、新しいものを新たに書くか)。 不自由なく歩けるようになったら、2010年以来訪れていないアイルランドにおけるイェイツ研究の動向を調べるため、またアイルランド(イェイツ)とアメリカの強固な繋がりを感じさせるものを見つけるためにアイルランドへフィールドワークに出かける予定である。 イェイツが訪れたアメリカ諸都市探訪も再チャレンジしたいが、アメリカのさまざまな事情を鑑み、インターネット、メールを駆使して図書館や街のアーカイブを通じての各都市に関する歴史調査になるかもしれない。今年度が科研費支給最終年度となるため、研究成果をなんらかの形でまとめる。
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