Project/Area Number |
21K00373
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
川崎 和基 日本大学, 工学部, 准教授 (90409037)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 宗教的寛容 / トマス・エドワーズ / 事前検閲制度 / 書籍出版業組合 / パンフレットウォー / ジョン・ミルトン / ロジャー・レストレンジ / マシュー・グリフィス / 霊魂睡眠 / ジョン・カルバン / ウィリアム・パーキンス / リチャード・オーバトン / ジョン・カルヴァン / 霊魂死滅論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,事前検閲制度の機能の低下により17世紀イングランド内乱期(1642-51)初期に噴出した急進的思想を,トマス・エドワーズ(c.1599-1648)の『Gangraena』(1646)を足がかりとして分析し,学際的な歴史文学研究の枠組みの中で,事前検閲制度の機能ならびに内乱期のパンフレットウォーが果たした役割とその効果を考察し,急進的思想の形成にどのように寄与したのかを明らかにする.特に,急進的ピューリタンがその思想の拠りどころとした宗教的寛容がいかに彼ら自身を突き動かすものとなったのかを検討することにより,イングランド内乱期初期の宗教的寛容の異端性を明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,事前検閲制度と書籍出版業組合の全盛期と衰退期の中で果たした機能を確認し,さらに,異端思想とそのセクトの存在が内乱期前後にどのような影響力を持っており,政体を脅かすものになりえたのかを探った。また,内乱期と王制回復期のパンフレットウォーの諸相をも検討した。特に,事前検閲制度と書籍出版業組合の機能を検討するうえで,1641年の事前検閲制度の機能が緩んだ後に出版された『Areopagitica』(1644)における知恵の源となる書物の出現を抑制する検閲事前検閲制度廃止を主張するミルトンの訴えからパンフレットウォーへと拡大する議論を纏めた論考を,十七世紀英文学会第12回全国大会「ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗」(2023年9月16日)で発表した。また,内乱期と王制回復期のパンフレットウォーの諸相を探るために,王党派牧師マシュー・グリフィスの『The fear of God and the King』(1660)を『Brief notes upon a late sermon』(1660)というパンフレットで攻撃をするミルトンに対し,攻撃を加える,後に出版検閲官や出版認可官となったロジャー・レストレンジの『No Blide Guide』(1660)を手がかりとして検討し,共和制議会や国王殺しの擁護者のパンフレットウォーの結末を纏めた論考を日本ミルトン協会第18回研究会「最後のパンフレット戦争で-ミルトンのBrief Notes upon a Late Sermonをめぐって」(2023年12月16日)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に引き続き、書籍出版業組合が認可を与えた出版物を検証しつつ,急進的人物や思想の存在を浮き彫りにするために認可を与えられなかった出版原稿を発見し,出版事情を再検証する予定であったが,Early English Books Onlineで検索可能の資料は収集することはできたものの,大英図書館が受けたサイバー攻撃の影響から同図書館での資料収集時期が遅れ,予定していた一次資料収集を十分行うことができなかったため,進捗状況に影響を与え,上記の理由となった。 一方,十七世紀英文学会第12回全国大会「ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗」(2023年9月16日)で、事前検閲制度廃止の主張からパンフレットウォーへと拡大する思想的基盤を検討し,その成果を発表した。また、日本ミルトン協会第18回研究会「最後のパンフレット戦争で-ミルトンのBrief Notes upon a Late Sermonをめぐって」(2023年12月16日)で、王制回復期の共和制議会や国王殺しの擁護者に対するパンフレットでの舌戦とその末路を検討し,その成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,事前検閲制度の機能の緩みにより勃発したパンフレットウォーという現象をさらに検証するため,エドワーズの攻撃対象者とその攻撃に対する反撃として出版された出版物を分析する。また,パンフレットウォーがエドワーズ以降のセクト間の論争や宗教的迫害にどのように関与していったか検証するため,クエーカーなどが展開したパンフレットウォーをも検討する。 前年度十分行うことができなかった一次資料の収集を大英図書館などで進め,特に,急進的人物や思想の存在を浮き彫りにするために,事前検閲制度や書籍出版業組合により認可を与えられなかった出版原稿をさらに探りながら,異端思想と異端視された人物の再考を行い,次年度の宗教的寛容の異端性検討のさらなる基盤を築く。
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