モダンから俯瞰する─パックス・アメリカーナ期の身体の政治学研究
Project/Area Number |
21K00382
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Kyushu University (2023) Kitakyushu National College of Technology (2021-2022) |
Principal Investigator |
中村 嘉雄 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40346739)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 亜衣 関西学院大学, 法学部, 教授 (60440202)
塚田 幸光 関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | パックス・アメリカーナ期 / 大量消費文化時代の身体表象 / ハリー・キャラハン / ラースロー・モホイ=ナジ / アメリカ流線型時代 / 現代写真展 / FSA / 前衛芸術 / 身体 / 工業デザイン / 写真論 / 抽象表現主義芸術 / 映画 / ニューヨーク近代美術館 / 国立近代美術館 / 高度消費経済文化 / クロスメディア / アメリカ / 優生学(優環学) / 表象文化 |
Outline of Research at the Start |
パックス・アメリカーナ期の身体は沈黙するのか。その歴史は30年代の流線型とマシーン との関連、ナチスの人種差別政策への反発による多民族主義・多文化主義から論じられ、 後続のこの「注目すべき文化のない」時代はほとんど分析の対象とならない。しかし、 ニューディール期の理想的身体は流線型文化、工業デザインとその美学・芸術論へと換骨奪胎され、以降マシーンによる身体の理想化として影響を及ぼし続ける。本研究は、その視点をパックス・アメリカーナ期の身体へ応用し、マシーン化による理想化がさらに加速する諸相をクロスメディア的視座から考察し、従来研究の手薄な時代の身体論を補完する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、代表者の中村は引き続き本研究課題、1950年代の「身体」的変容(アメリカ1930年代、流線型工業デザイン時代の「身体」のマシーン化(科研課題番号18K00403の研究成果)の更なる浸透・促進)を引き起こしたと推測される、パックス・アメリカーナ期の視覚芸術(特に「写真」)の芸術および教育制度の思想的背景の検証を深めるとともに、分析検証対象となるイリノイ工科大学デザイン研究所の写真部長、写真家ハリー・キャラハンの作品と同時代写真家の作品との比較分析作業を通して、キャラハンの写真的特徴の分析をさらに進めた。その検証作業を通して、戦後東京国立近代美術館で初めて開催された「現代写真展」のキャラハンの写真は土門拳の「サロン」的という批判と異なり、芸術的、社会的にもリアリズム的性格が強いことが判明した。それはデザイン研究所の前身、ニューバウハウスの創設者モホイ=ナジの芸術観に通づるものであり、新しい身体の可能性を伝える媒介者としての役割を芸術家が担うことを意味する。キャラハンの同写真展の写真は工業化とシステム化の社会において高度に抽象化され、機械化された近代社会の新たな身体とその「リアル」を媒介する芸術メディアであったと言える。同様の傾向性はキャラハンの同時代のシカゴ学派の写真がしばしばモチーフとする「マネキン」にも観取可能である。その意味から「現代写真展」も戦後50年代のアメリカが日本へ輸出する、アメリカ30年代以降の流線型が発展した「リアル」な大量消費文化と人間身体の機械的変容を伝える政治的・教育的な場でもあったことも確認できる。 各研究分担者も順調に研究を進め50年代のメディア分析へむけた予備的考察で成果を上げている。小笠原は「声」と前衛的モダニスト作家の関係性を、塚田はアメリカ30年代南部の「ノンフィクション」における南部表象を中心に研究成果を上げている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の異動に伴い海外リサーチの時期が遅れたものの、分析対象となるハリー・キャラハンと同時代写真家との関係性の分析が進み写真家のリアリストの側面の分析検証がさらに促進した。また、小笠原の「声」の分析と塚田の「ノンフィクション」と30年代FSAの分析も進みアメリカにおけるリアリズムの系譜の再検証がさらに進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度得た成果は、研究代表者および研究分担者の実証研究をさらに進展させる可能性を多分に含んでおり、研究の検証範囲を広げ、その精度を増すために、今まで以上に、各研究者間の連絡を密にしながら研究を進める。また、各自のアメリカでの第一次資料の分析を共有し本課題研究の分析の精度を高めていく。
|
Report
(3 results)
Research Products
(16 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] モダンの身体2022
Author(s)
中村 嘉雄、小笠原 亜衣、塚田 幸光
Total Pages
376
Publisher
小鳥遊書房
ISBN
9784909812988
Related Report
-
-
-