Reconstruction of the Genealogy of African American Speculative Fiction in Relation to Scientific Discourses
Project/Area Number |
21K00384
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
堀 智弘 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (10634719)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | 思弁的フィクション / アフリカ系アメリカ人文学 / 奴隷制 / 科学言説 / 確率論 / アフロ未来主義 / 思弁的小説 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、十九世紀から二十世紀のハーレム・ルネッサンス期に至るまでのアフリカ系アメリカ人小説が、確率論、進化論、統計学、医学、生物学、化学等の同時代の科学的言説との緊張関係のなかでいかに形成されたのかを検証し、黒人作家による思弁的フィクションの系譜を再構築することで、従来の文学史では見逃されがちであったアフリカ系アメリカ人文学の近代性を評価する新たな視点を導入することである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の基礎をなすアメリカでの文献調査については、全世界的なCOVID-19の流行にともなう入国制限のため、前年度と同様に実施ができなかった。 2019年から行なっているFrederick Douglassの第二自伝My Bondage and My Freedom (1855)の翻訳については、ダグラスの生涯において最大の節目となっている奴隷監督Edward Coveyとの闘いの序章となる第16章まで翻訳を完成した。この訳出の作業を通して、ダグラスがその著作においていかに宗教的な物語枠組みを世俗的な物語へと転用しているかについて、より明確に把握することができた。 本研究は主にアフリカ系アメリカ人作家による思弁的フィクションの系譜の再構築を目指しているが、この系譜はそれだけで独立しているわけではなく、主流の白人作家による正典的作品との緊張関係のなかで形成されている。十九世紀アメリカ文学におけるアフリカ系アメリカ人の表象という点で特に重要な作品として、Douglassとも面識があったMark TwainのAdventures of Huckleberry Finn (1885)を挙げることができるが、この作品を現代の情報カスケード理論の点から読解し、人種をめぐる思弁的フィクション的な要素の分析を行なった。この分析を通して、十九世紀後半のアメリカ文学における科学的言説的な思考をより正確に位置付けることができた。 アフリカ人アメリカ人文学の思弁的フィクションの再構築にあたって、デジタルヒューマニティーズ的な手法を導入するために、Harvard大学が開講しているオンラインのIntroduction to Digital Humanitiesを受講した。これによって数量的な手法の基礎を学ぶことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況がやや遅れている最大の理由は、当初予定していたアメリカでの文献調査ができなかったことによる。そのため、アフリカ系アメリカ人作家による思弁的系譜の再構築という点では、特に世紀転換期のW.E.B. Du Bois、ハーレムルネッサンス期George S. SchuylerとRudolph Fisherについては、すでに出版されている文献のみに調査が限定されるため、研究をあまり進めることができなかった。同時に、文献調査の制限にあわせて、本研究課題の方向性について調整を行い、十九世紀のFrederick Douglass、さらに関連するMark Twainについては研究を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度にあたる2023年度には、これまで見送ってきたアメリカでの文献調査を実施する予定である。この文献調査によって、ハーレムルネッサンス期におけるアフリカ系アメリカ人作家による思弁的フィクションの位置付けが明確になると期待される。 上の進捗状況にも記した通り、十九世紀におけるアフリカ系アメリカ人作家の思弁的フィクションの位置付けの明確化のために、白人作家による人種をめぐる思弁的フィクションとしてMark TwainのAdventures of Huckleberry Finnを本研究課題の調査範囲に入れることとなり、その研究成果を2023年度中に口頭発表や論文という形で発表する予定である。 Frederick DouglassのMy Bondage and My Freedomの翻訳作業も引き続き行い、第17から20章まで翻訳を終えることを目指す。この翻訳作業を通して、Douglassの著作における思弁的フィクションの要素の分析を行う。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)