Project/Area Number |
21K00391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊島 麗子 琉球大学, 国際地域創造学部, 非常勤講師 (30295290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | オーストラリア女性移民 / 国民意識 / 19世紀オーストラリア文学 / 19世紀オーストラリア文学 / 19世紀イギリス文学 |
Outline of Research at the Start |
1850年代のオーストラリアでは、植民地のモラル向上と英国中流階級文化継承のため、女性の道徳的存在意義が重要視された。しかし、女性移民のライティングには、帝国の期待・意図に抵抗するライティングがある。帝国発展のため「妻・母」という性役割を受け入れ、あるいは葛藤しつつ、女性移民が現実を批判的に考察し、オーストラリア人としてのアイデンティティに目覚め国民意識形成に関わる過程を、1850年代・1860年代のライティングを精査し検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は19世紀イギリスの国内情勢や移民言説を考察し、オーストラリア植民地への女性移民表象の基礎研究を行った。 令和4年度はEllen Clacyの旅行記 A Lady's Visit to the Gold Diggings of Australia in 1852 to 1853(1853)に描かれた女性移民の多様な経験と表象を研究ノートにまとめた。今年度はその考察・分析を深めて論文を書き、6月の沖縄外国文学会年次大会で発表する。 令和5年度は同学会誌へCatherine Helen Spenceの小説Clara Morison: A Tale of South Australia During the Gold Fever(1854)における女性移民表象と国民意識に関する論文を投稿したが、内容の再検討のために最終的に投稿を取り下げた。この論文は書き直して国際学会で発表する予定である。 これまでに扱った資料や作品には、労働する女性移民が数多く登場する。移民がより良い生活を求めての選択だったことはゴールドラッシュ期も変わらないが、生活の糧を得るために階級モラルを越えて肉体労働や家事労働に従事する中流階級出身の女性移民もいる。一方で「性の輸出入品」とも呼ばれた女性移民は、「家庭の天使」、「神の警察」、イギリス文化継承のエージェントの役割を立場に応じてある程度果たしながら、帝国主義やイギリスの社会規範を批判的に検討し、植民地の現実を受け入れつつ主体的な生き方を模索し、個人さらにオーストラリア植民地人としてのアイデンティを構築していく。このような女性移民の表象は国民意識形成の検証へ繋がるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は、女性移民による手紙・日記・回想録等の資料と文学作品を精査してテーマを検証する計画であったが、資料収集及び精査が遅れており、文学作品は2作目の考察・分析を行ったところである。 遅延の主な理由は令和5年3月末の退職前後の年度が公私ともに多忙となり、研究時間確保が難しかったことである。また昨年末より家族の遠隔介護に携わっているため、集中して研究に取り組む努力が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
時間的制約を考慮して手書き資料の収集・精査は限定的に行い、主に活字化された資料を利用する。 学会発表と論文投稿を積極的に行う。令和6年度はA Lady's Visit to the Gold Diggings of Australia in 1852 to 1853(1853)に関する論考を6月の沖縄外国文学会年次大会で発表し、同学会誌へ投稿する予定である。また、9月にはClara Morison: A Tale of South Australia During the Gold Fever(1854)に関する論考を国際学会 EVENT 2024(NAVSA, AVSA, BAVS, or Victorians Institute)で発表する予定だが、論文の投稿先は未定である。年度内に3作目Ella Norman; or, a Woman's Perilsに関する論文に取り組む。
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