長い18世紀の女性作家を中心とした近代商業社会と美的感覚の関係性の学際的研究
Project/Area Number |
21K00392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
梶 理和子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60299790)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 女性作家 / 君主 / 絶対王権 / 公的利益 / セクシュアリティ / 演劇ジャンル / 君主制 / 美的感覚 / 近代商業社会 / 植民地 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、名誉革命を挟んだ17世紀後半から始まるイングランドの政治的・宗教的体制の変動を背景とした価値観、美的感覚の揺らぎと多様化の過程を、女性作家アフラ・ベーンと彼女に続く女性作家群の言説に探る。そこで、地中海、北アメリカやインド等の領域への「帝国的」野望の高まる王政復古期以降、近代商業社会の形成と文学ジャンルの変遷の過程が、いかに感受性の変容と関係しているのかを、文学作品を含む多様な言説の分析を通じて検証することを試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、王政復古期から始まり、名誉革命前後から顕在化する宗教的(カトリック/プロテスタント)、政治的(国王中心/議会中心)、階級的(家系・土地所有/経営・財力)状況の大きな変化が、イングランドという国家とその人々の価値判断、美的感覚、そしてその基盤となる感受性の形成・変容にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにするという本研究課題の1つ目の目的を考察するために、アフラ・ベーンの詩および演劇作品を検証してきた。そこで、国王/君主に関わるセクシュアリティや、王権神授説、絶対王政、そして公的利益やコモンウェルスといった問題が、王政復古後の10年あまり、ベーンが劇作家として登場した時点で、すでに問題と認識されており、その表象において(新たな)感受性の形成が暗示されていることを明らかにした。 その成果を踏まえて、3年目となる本年度では、このような感受性の変化が近代(モダニティ)の誕生とどのように関係しているのかという2つ目の問いに向かうために、イングランド国内外の商業的状況・関係性によって国家と主体(の関係)が大きく変わる時期に、演劇作品のプロット構造、登場人物に投影される欲望や感覚にどのような情動の異同が確認できるのか、ベーンが用いた演劇作品のジャンル(悲喜劇、悲劇、喜劇、笑劇)を、その上演時期の政治的・宗教的・経済的状況や、国王と王妃、宮廷の女性たちの私的/公的身体性にまつわる言説といった観点から検証した。成果の一端として、国家(君主)と女性主体(臣下)の関係を描く悲喜劇、喜劇においては、公的利益の追究の可能性は限定的に暗示されるにとどまり、スチュアート朝を支持する女性作家のジレンマが窺える。多くの喜劇と笑劇では「女性」が描く「喜劇/笑劇」という名目で批判を逃れられる戦略が取られ、女性の主体性等、同様の問題意識が確かに書き込まれていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度含め、これまで海外リサーチができなかったために、予定した、とりわけ一次資料の収集が難航したため。そのほかにも、海外から書籍(ファクシミリ版を含む)を取り寄せるのに数か月を要したり、入手できなかったりと、収集資料を基盤とする分析の遅れが続いたため。
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Strategy for Future Research Activity |
女性作家の創作ジャンルの変遷の意味を、新興の人々の力と欲望、感受性、美的・道徳的感覚の変容という観点から考察するために、アフラ・ベーンの作品と長い18世紀の女性作家、特に喜劇作家としてベーンの後継者と目されるスザンナ・セントリーヴァ、の演劇作品との比較検討をおこなう。具体的には、ベーンとセントリーヴァのテクスト分析によって、女性(を取り巻く環境の)表象という観点から、女性の身体的・精神的欲望と美的・道徳的感性と判断力の変化を追う。そして、女性の欲望・情動の表象と作品の形式との関連性を検討するために、王政復古から18世紀初頭にかけて、イングランドが経験する政治的、宗教的動乱、経済的危機や発展、社会的変動等との関連から、文学形式と情動の表象([不]可能性)との関係性を検証する。王政復古期の宗教・政治・商業的状況の変動の誘因、影響等にかかわる一次・二次資料の収集するための海外リサーチも実施する。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)