Project/Area Number |
21K00397
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
|
Research Institution | Sophia University (2023) Miyagi Gakuin Women's University (2021-2022) |
Principal Investigator |
田島 優子 上智大学, 文学部, 准教授 (40710934)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | アメリカ文学 / ナサニエル・ホーソーン / 病 / ロマンス / アメリカン・ルネサンス / 病い |
Outline of Research at the Start |
本研究では、19世紀中葉アメリカン・ルネサンス期の作家、ナサニエル・ホーソーン、ハーマン・ メルヴィル、エドガー・アラン・ポーの作品に注目し、「ロマンス」と親和性の高い宗教的「善」/「悪」の観点から見ればネガティヴなものとして単純化されかねない病の隠喩が、「ノヴェル」の描く社会規範的「正」/「誤」の観点から読み直せば複雑な文学的豊かさを持つ可能性を明らかにしたい。またこのことを通して、アメリカ文学を特権化する政治的意図を持つものとしてニュー・アメリカニストらに批判されることもあったアメリカ小説ロマンス説を再検討し、「ロマンス」という文学ジャンルに新たな視座を与えることを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、まずはナサニエル・ホーソーンの短編作品を20編ほど再読した。中期以降の長編と比較すると、短編では登場人物や作品プロットの描写に寓意性や虚構性が際立っており、「ロマンス」的な要素が強いことを確認した。キャリアの初期から中期にかけたこの短編執筆の時期、妻のソファイアがホーソーンの「ロマンス」に与えた影響について、日本アメリカ文学会関西支部7月例会シンポジウム「編集をめぐる攻防――検閲・炎上・誤読」において、「「編者」としてのソファイア――ホーソーン夫妻の検閲と改竄」と題して詳しく論じた。 次に、昨年度から考察をしてきたホーソーンの『ブライズデイル・ロマンス』を引き続き取り上げ、語り手の男性カヴァデイルの視線を通して、女性解放論者ゼノビアが女性という「病」として描かれていることに着目した。作品終盤においてゼノビアが「共感」の主題によって社会的な問題をもたらし、ロマンスとしてのホーソーン作品を瓦解させることを明らかにした。この論考はアメリカ文学会東京支部の3月例会で口頭発表を行った。現在論文にまとめているところである。 さらに、まだ活字にはまとめていないものの、エドガー・アラン・ポーの短編「アッシャー家の崩壊」、「モレラ」、「ライジーア」といった作品をとりあげ、病の描写に着目して精読を行った。 また、時代区分としてはアメリカン・ルネサンス期の作家ではないものの、主に1950年代に執筆を行った作家、シャーリー・ジャクソンについても、ジャンル論と病的な人物たちの特性とを絡める形で考察し、論文にまとめ、上智大学文学部英文学科『英文学と英語学』60号に掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ホーソーン関連のシンポジウムと個人発表の依頼があったため、関連する考察を質的に深めることができたのはよかったと考える。一方エドガー・アラン・ポーの作品については何篇か精読を行ったものの、ハーマン・メルヴィルの作品の精読には着手できなかった。今年度は時代が異なるジャクソンの論文を執筆し、口頭発表が2本あったことに加えて、勤務校が変わって環境に慣れる時間が必要であったこともあり、海外に渡航して資料収集や実地調査の実施までには至らなかった。このため、進捗状況はやや遅れている状態である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホーソーン研究に関してはこれまでの3年間に考察や論文執筆が進んでいるが、最後の1年は作家の伝記的な部分について調査を進めることで議論を補強したい。2024年度は米国マサチューセッツの博物館等(Peabody Essex Museum等)を訪れ、未刊行の手紙や原稿を閲覧する。 今年度は、特にハーマン・メルヴィルの作品および文献の精読を進め、論文を執筆していきたいが、残り1年となったため、研究対象をホーソーンのみに変更することで早めに研究内容をまとめあげることも検討したい。
|