20世紀転換期の新しい女性小説と住空間の関係性―ウォートンとギルマンの場合
Project/Area Number |
21K00404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石塚 則子 同志社大学, 文学部, 教授 (80257790)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | イーディス・ウォートン / シャーロット・パーキンス・ギルマン / ドメスティシティ言説 / アフェクト理論 / 女性の主体形成 / ジェンダー・スペース / マテリアル・フェミニズム / 建築と住空間 / 住空間 / ドメスティシティ / ドメスティック・スペース / 個人主義 |
Outline of Research at the Start |
20世紀転換期に活躍する女性作家たちは、19世紀半ばに称揚された男女領域分離主義や「ドメスティシティ(家庭らしさ)」言説に対して疑義を呈しながら、「家庭小説」や「マリッジ・プロット」から脱却し、新しい「女性小説」への展開を模索した。本研究は、イーディス・ウォートンとシャーロット・パーキンス・ギルマンを取り上げ、個としての女性の内面世界を住空間との関係性から考察し、新しい女性小説として両者の文学テクストを批評する方法を提案する。同時にマテリアル・フェミニズムの観点から両者の女性空間の創出の戦略、つまり女性のエンパワーメントの場としての「家庭」や「家」のあり方を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍と骨折による入院・治療のため、海外での文献収集などを実施することができず、引き続き本研究プロジェクトに必要な文献資料、特にウォートン研究関連やアフェクト理論や現象学を用いた文学研究関係の文献を収集し、論文化に向けて研究を進めている。 同志社アメリカ研究所 第1部門研究 「被抑圧者たちの抵抗と再生―アメリカにおける歴史記憶と文学表象」や神戸市外国語大学「プラグマティズム再考:ジェイムズ兄妹とモダニティ」研究会のメンバーとして意見交換を行った。部門研究では、アメリカ歴史研究者(奴隷制やアメリカ帝国主義など)から歴史的な知見を得、神戸市外国語大学での研究会では、ウィリアム・ジェイムズの著作を輪読し、担当箇所について報告した。またドイツ観念哲学専門の研究者を招いての講演では、ドイツでのウィリアム・ジェイムズの哲学に関する評価について貴重な情報を得た。こうした研究会では、アフェクト理論や現象学や20世紀転換期に発展した心理学などについての知見を得ることができたことが大きく、本研究の20世紀転換期のマテリアル・フェミニズムや女性の主体形成などに有益な情報となり、研究に新たな視座を得ることができた。 学会活動においては、アメリカ文学会関西支部7月例会において、「ヘンリー・ジェイムズ作品における場の感覚」を企画し、ヘンリー・ジェイムズ研究者とともにジェイムズ作品における「場の感覚」についてミニシンポを行った。また2023年7月開催予定の第9回国際ヘンリー・ジェイムズ学会の運営事務局として学会の準備をしながら、研究発表でウォートン作品における子どもとドメスティシティの表象についての論考を発表するための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍と入院治療のため、本年度の成果を論文化できなかったが、研究会や学会での企画や活動に携わることで、専門性の近い研究者と今後の展開に有意義な意見交換ができ、文献収集を進めることができた。本来の研究計画では、ギルマンのマテリアル・フェミニズムをジェンダー空間の創成から、さらに女性の社会進出やエンパワーメントのための空間づくりに展開する予定であったが、その前にアフェクト理論やウィリアム・ジェイムズのプラグマティズムを援用しながらウォートンやギルマンの文学テクスト解釈を試みようとしている。つまり、文学テクスト研究として、世紀転換期の女性の主体形成を文学テクストで読み解く際に、ドメスティシティからの脱却や個人の空間やプライバシーの重要性、ジェンダー空間が女性の意識(情動)にどのように働きかけるかを分析しているところである。19世紀に家庭という空間に閉じ込められていた女性たちが個人主義に目覚めたときに、ドメスティシティ言説から脱却し、どのように個の空間や主体を形成していくか、19世紀の「家庭小説」から新たな女性小説の手法への変容を考察している。そのうえで、実際に女性のエンパワーメントに資するために、ウォートンとギルマンが社会活動を通して女性の空間を創成したかを考察する予定である。2023年7月開催の第9回国際ヘンリー・ジェイムズ学会に研究発表を応募し、準備を進めている。ウォートン作品における子ども(母娘)とドメスティシティの表象を取り上げ、19世紀半ばの「家庭小説」を脱却した、モダニズム小説としての新たな女性小説の手法を論じる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ウォートンのドメスティシティの表象を論文化するとともに、本研究のテーマであるもう一人の女性作家であるギルマンの研究を進めていく予定である。シャーロット・パーキンス・ギルマンは『ホーム』(1903)において、独自のフェミニストとしての主張を展開し、ドメスティシティ言説や性別役割分業に疑義を呈し、マテリアル・フェミニストとして、女性の空間について急進的な提案をした。こうした女性の視点からの空間造形は、19世紀後半に女性の建築家の誕生や1893年のシカゴ万博での「女性館」の役割、さらにジェーン・アダムズのセツルメント・ハウスにも通底し、同時代の女性たちが私的/公的空間の創出と社会活動を通して、「家庭の天使」としてドメスティックな空間に封じ込まれていた立場から社会に参画するためのエンパワーメントと共振するものである。ウォートンもギルマンも女性空間についての提言だけではなく、文学テクストにおいても空間知覚が女性の身体や記憶に作用する作品を書いており、今後、両者の提言の内容と社会活動として実践した女性空間の考察とともに、創作において住空間と個としての女性の内面の関係性を作品化する新しい女性小説を取り上げる。 国際学会参加の予定がコロナ禍で順延されたり、また日本国内での開催となったため、ニューヨークでの資料収集の時期や計画を再調整中である。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)