Project/Area Number |
21K00435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 覚 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (40252407)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 文学論争 / 詩学史 / ドイツ啓蒙主義 |
Outline of Research at the Start |
ドイツ啓蒙主義時代の詩学において、「模倣」の段階性、「想像」の複合性、「情念」の複合性が広く議論されている。これらの言説の間にある構造的な類比をめぐって、言説間の論理的連関はどのように捉えられるのか、考究する。自然模倣説、想像力論、情念論において取る得る理論的立場に振幅があるところで、それぞれの詩学書の書き手の立ち位置はどのように決まるのか、それを決めている当時の支配的・範型的物語は何か、を探る。そこで明らかになった諸言説の構成を踏まえて、従来の詩学史記述の物語はどのように反省的に捉え返されるのか、明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、当初の計画では毎年行う予定にしていた渡独しての文献調査・資料収集を初めて実施できた。電子的に入手できない一次文献や、二次文献の国内では収集が手薄になっているものを入手した。 理論面の考察では、前年度同様、ゴットシェートとスイス派の間の文学論争を引き続き議論の具体的な素材とした。文学論争は、ミルトンの詩の評価といった作品の批評眼が前面に出た論争ではあったが、その背景には両派の詩学的立場の違いがあり、「真実らしさ」と「不思議なもの」という詩学的概念の連関が問題になった。2023年度は、そこからさらに、崇高概念の系譜との交点を考察した。ゴットシェートが「真実らしさ(die Wahrscheinlichkeit)」を強調してバロック的な虚飾を批判するとき、エピグラムの詩学がロンギノスの崇高論を援用したようにロンギノスを引き合いに出して自らの論の支えにしている。逆に、ブライティンガーがミルトンを擁護するために押し出している「不思議なもの(das Wunderbare)」という概念は、その位置付けにロンギノスの崇高概念との重なりが見て取れるものとなっている。煎じ詰めて言えば、文学論争の両派は、それぞれの主張を補うのにロンギノスを引き合いに出している。(この議論については、次号の『ドイツ啓蒙主義研究』に論文を発表予定。)ゴットシェートが簡潔で鋭い表現を求め、機知や明敏さを重視する一方で、ブライティンガーは、無味乾燥を避けながら行き過ぎてしまったものが虚飾で、その目指す方向には理解を示している。こうしたところに、両派の想像力概念について、本研究課題のテーマである複合性の想定の違いを今後考えるヒントがあると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎的な資料整備の面では、初めて渡独調査ができたが、まだ遅れがある。 理論的探究の面は、大枠のところでは研究計画の見直しの必要はなく、その意味では問題ないと言えるが、複数の詩学的概念をめぐる言説間の関係として、土台の模倣説と、想像力論、可能世界論の複合に対して、それらとの関わりがあまり積極的に論じられていない様子の情念論の位置付けを探る必要がある。 研究者の健康面の問題があり、それが研究の遂行に遅れが生じる要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究者の健康面の問題があり、最終年度を1年延長する検討も必要かも知れないと考えている。言説間の関係性を見るという研究課題の目的に対しては、検討対象とするテキストを絞ることで焦点を明確にする。
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