朝鮮総督府『俚謡・俚諺及通俗的読物等調査』の朝鮮のことわざに関する研究
Project/Area Number |
21K00461
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02050:Literature in general-related
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鄭 芝淑 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (20452211)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 俚諺 / ことわざ / 朝鮮総督府 / 民俗資料報告書 / 朝鮮 |
Outline of Research at the Start |
朝鮮総督府は設立当初から朝鮮全土にわたって民俗学的調査を行った。全国13の地域から寄せられた結果を1912年に朝鮮民俗資料報告書『俚謡・俚諺及通俗的読物等調査』13冊(韓国国立民俗博物館所蔵)にまとめている。そこにはかなりの数の朝鮮のことわざが拾われている。当時の朝鮮のことわざの実態を知るための貴重な資料となり得るにもかかわらず、総督府が行った調査であるためか、報告書の存在は知られていてもその内容の分析は行われていないのが実情である。しかし、誰が行った調査であるにせよ初めて実施された本格的な調査であるから、その内容を分析・考察する必要がある。本研究はその一端を担うものである。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、1年目に作成したデータの一部を分析、研究発表を2度を行い、論文1編を発表した。① 1回目の研究発表は「ことわざ学会」の7月例会(2022.7.23)で「朝鮮総督府『俚謡・俚諺及通俗的読物等調査』のことわざについて」という題で口頭発表を行った。発表では総督府報告書の概要を紹介し、そこにことわざがどのような形で記載されているのかを現物の写真を提示しながら解説した。② 2回目の研究発表は「ことわざ学会」第34回フォーラム(2022.12.3)にて「日本統治時代の朝鮮語教科書の俚諺について」という題で口頭発表を行った。発表内容は統監府の学部が編纂した『普通學校學徒用國語讀本』と朝鮮総督府編纂の『訂正普通學校學徒用朝鮮語讀本』(全8冊、1911年)、第1期『普通學校朝鮮語及漢文讀本』(全6巻、1915~1921年)、第2期『普通學校朝鮮語讀本』(全6巻、1923年~1924年)等で教育素材として取り上げられた俚諺について紹介した。どのような俚諺が掲載されているのか、編纂を重ねる過程でどのような俚諺が追加あるいは削除されたかなどを示し、またその前後に出版された俚諺集との関連も考察した。③ 論文は口頭発表をした②を加筆・修正したものを「日本統治時代の朝鮮語教科書の俚諺について」という題で、『VERBA』NO.46 pp.26~39 (2023.3.15) 鹿児島大学言語文化研究会編にて発表した。 また昨年度に引き続き、本研究の一次資料として入手した13冊の報告書のことわざ資料からデータベースを作成するための入力作業を進めたが、道によってことわざの収録件数においてわずか12件(慶尚南道篇)から数百件(京畿道篇)までかなりのばらつきがあることや資料に判読不明の箇所が多くあるため、予想した以上に入力作業に時間がかかる見込みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた朝鮮総督府関連の資料を調達することができ、またことわざの入力作業にも着手することができたが、予想以上に入力作業に時間がかかるため、遅れが生じている。朝鮮総督府関連の書籍を調べている中で、日本統治時代に出版された朝鮮語教科書の中の俚諺との関係を追求した研究発表や論文執筆を行った。それと並行して、朝鮮総督府の朝鮮民俗資料報告書と同時期に刊行された朝鮮ことわざ集3点(髙橋亨が1910年と1914年に刊行した2種のことわざ集、朝鮮総督府から1926年に刊行した『朝鮮民俗資料第三編朝鮮俚諺集』)との関連性も分析中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、令和4年度にできなかったことを行う。コロナウィルスの影響は以前よりは少ないと考えられるため、出張など学会の発表を積極的に行う予定である。特に以下の点に重点を置いて作業を進める予定である。 ①未入力の篇について入力作業を行う。②入力済みの篇についてチェックや分析作業を行う。③ことわざの件数が最も多く質的価値も高いと思われる京畿道篇のことわざ資料の分析を中心に進める予定である。ハングルで書かれた最初のことわざ集はチェ・ウォンシクの『朝鮮俚諺』(1913)とされているが、それより以前に出されている京畿道篇のことわざ資料との関係性も探る予定である。④朝鮮の13の地域から寄せられた報告は、その表題も統一されておらず、収集収録形式も分量も様々であるが、ことわざの表記の仕方に関しては、日本語、ハングル、日本語ハングル混在型などと様々である。その中でハングル表記のものを優先して分析を行う予定である。⑤令和4年度にできなかった分析を行う。朝鮮総督府の朝鮮民俗資料報告書と同時期に刊行された朝鮮ことわざ集3点(髙橋亨が1910年と1914年に刊行した2種のことわざ集、朝鮮総督府から1926年に刊行した『朝鮮民俗資料第三編朝鮮俚諺集』)との関連性もより詳しく具体的に分析していく予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)