Project/Area Number |
21K00479
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢放 昭文 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (20140973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 慎吾 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (20513360)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 客家音 / 天路歴程粤語文体 / 四洲志 / 非鼻音化現象 / 19世紀前半 / 広東高明音 / 清末 / 音訳漢字 / 官話版 / 土話版 / 訓読 / 華英通語 / 海国図志 / 脱鼻音化 / 英語 / 粤語 / 四州志 / 梁進徳 / 付加記号 / 音訳漢字資料 / 英粤対音 / 粤語音韻史 / 中古音系 / 粤語諸方言 |
Outline of Research at the Start |
本研究の資料はアヘン戦争前後より活躍した中国商人が交易に必要な英単語・単文の語音を漢字により筆録した手冊を通行の起源としている。漢字音は当時の粤語音と推定できる。粤語音に基づく英語音表記、即ち英粤対音の資料である。 但し粤語の形成過程は複雑である。またこの期間の粤語音を知り得る資料は限定されるが故に、本研究が物語る言語情報は粤語音韻史を考究する上で貴重な価値をもつ。 本研究は『華英通語』等計12種類の資料が収録する英粤対音の字音毎に英語音と対照しデータベースを構築したうえで中古音系の精密な分類を加え、資料毎の特徴を究めて基礎方言を措定し、この時期の粤語音韻史研究に新たな一輪を供えるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究実績は論文2篇である。「『日本広東学習新語書』の人称代詞複数形と訓読について」『神田外語大学日本研究所紀要』第15号pp.171-178、2023年3月刊、及び「『日本広東学習新語書』と客家語」『神田外語大学日本研究所紀要』第16号pp.23(130)-31(122)、2024年3月刊である。いずれも神田外語大学所蔵『日本広東新語書』収録の漢字音と語彙の特徴について研究を重ねた結果、語音・語彙の特徴から判断して客家方言に該当する部分が大きいことを報告した。 また『天路歴程』官話・粤語二文体の対照テキストを関連資料として整備した。同時代の資料として邵彬儒原編、魚返善雄校點『廣東語小説集(俗話傾談)』(日本東京小峯書店1964年發行)と天理図書館蔵「俗話爽心」省港五桂堂書局出版1900年代初頭刊行)を併せ採用し、該当時期の粤語語法特徴の分析を進めている。 英粤対音資料としては魏源(1794-1857)編『海国図志』収録『四洲志』収録の世界各地の音訳字のデータベースも完成済みである。『四洲志』は林則徐(1785-1850)の命を承けた梁進徳(生没年不詳・広東高明人)らが『世界地理大全』(1839)としてHuge Murray 原著“AnEncyclopeadia of Geography” (伝1834年)を漢訳したものであり、後に魏源が『四洲志』と改称『海国図志』に収録したものである。岳麓書社刊本(2004)収録の音訳漢字は世界各地名の原語音を忠実に付記しており、対音資料として使用出来る。中古音分析では、音節末尾の鼻音韻尾字に重唇音を語頭子音として後続させる二合音方式で非鼻音化現象を精緻に表音している。その特徴は翻訳者とされる梁進徳の母語・広東高明音を反映するものと推断することができる。『華英通語』の音訳字資料についてもデータ入力は完成しており、細部の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究用データベースとして整備済みの『天路歴程』官話版・粤語版の対照テキストを使用しつつ、該当時期の粤語語法について、同時代の他資料、特に(博陵紀棠氏)邵彬儒原編、魚返善雄校點『廣東語小説集(俗話傾談)』(日本東京小峯書店1964年發行)及び天理図書館所蔵「俗話爽心」(『広州俗曲』所収、省港五桂堂書局出版1900年代初頭刊行)を併せつつ語法特徴の分析を進めつつあるが、方言字の入力作業に想定外の工夫を必要としていることが遅延理由の一つになっている。 音訳漢字資料の一つ『華英通語』(福沢本・狩野文庫本・哈佛本)についてもデータ入力を終え分析を進めているところであるが、道光29年本を新たに加えたため、予想外の時間を費やしていることも遅延理由の一つである。殊に英語アクセントを示している音訳字形の大小、配列位置の微妙な高低差などの表音事象を型式化・類型化することに手間取っている点も遅延の淵源である。『英語集全』の音訳字については、序文・凡例よりその編纂法の大要を知ることができるが、個々の字例については音訳字採用の音韻面での根拠を探ること、基礎方言を措定するための方言資料の渉猟に時間を費やしている点も遅延理由である。目下、これら遅延上の問題点の克服に鋭意試行と工夫を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに加えた道光29年本については、福沢本・狩野文庫本・哈佛本と対照しつつ、データ入力を完成させる。検討の余地がある細部、特に英語アクセントを示す音訳字例の整理と特徴の抽出については、字形の大小、配列位置の微妙な高低差などの諸現象を擁する音訳語彙に的を絞り作業を進める。さらにその特徴の型式化・類型化については、目下、非鼻音化現象を示す韻攝所属字例に的を絞り分析・推進しており、この作業を促進させることにより、研究全体の遅延を克服出来るものと判断している。 『英語集全』収録の対音字についても、同書の音訳字総体ではなく、非鼻音化現象を反映する韻攝内の音訳字に的を絞り分析を進めている。パソコン入力に想定外の時間が必要な外字などの対象についても、可能な限りパソコン入力を完成させる方針であるが、やむを得ない場合は対象を写真撮影し、整理を加えて切り貼りするという方法を併せ採用して、データベースを完成させることを計画している。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)