Project/Area Number |
21K00496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上原 聡 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20292352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Narrog Heiko 東北大学, 文学研究科, 教授 (40301923)
王 安 法政大学, 文学部, 教授 (70580653)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 主観性 / 認知言語学 / 言語類型論 / 言語間差異 / 類型化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、認知言語学によって明らかになった言語の主観性と主体性(両者は英語ではどちらもsubjectivityと1語で表される)に関して、特にそれを命題事象内に表出する表現形式としての構文・語彙化のパターンにおける言語間差異に注目し、それに基づく言語の類型化とそれを他の類型に通底する原理としての言語類型の再構築の可能性を、言語類型論の研究手法によって明らかにすることを目的とする、記述的・実証的研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知言語学の基本概念である、言語表現の意味は捉えであるという観点から、日本語の好まれる言い回しとしての主観的事態把握の表現を、他言語との対照的観点から精緻化・体系化し、それをもとに多言語の類型化を行うことを目的としている。2023年度は、前年度に行なった、同じく日本語の好まれる言い回しとしての「ナル表現」「名詞的述語表現」に加えて、出来の表現(状態表現に対する)も対象にし、主観性表現との関連性(共通点及び相違点)を、対訳コーパスの日本語との対応表現の例を用いて明らかにした。 特に、主語/代名詞省略としては日本語と共通である東アジアの言語においても、当該の4種の表現群に関して、欧米語に近い表現パターンが見られることが多いことがわかった。ただ、前3種の表現群と異なり出来の表現は主体の背景化には関わらないため、主観性表現との関連性は他の2種の表現とは異なるものであることを明らかにした。これらの研究の成果は今後研究発表で公開する。 また、上記の点に関連して、前年度に続いて個別言語間の対応関係を示す個別表現の分析も進めた。例えば、前年度まで行なった方向動詞「出る」に加えて2023年度は同じ方向動詞「入る」とその対応表現の分析を行なったが、同様にタイ語においては対応する直訳の語が使えず、その出現を知覚する主体と知覚行為の表現を追加した表現に対応するなど、近似の表現間の文脈等による体系的な対応関係がより明確にできた。さらに、当該の移動表現に関してだが、その言語間の差を生み出す要因には他にも、無生物を主語とした捉えの容認性、容器のメタファーの対象範囲などの要因が存在し同時に動機づけていることも明らかになった。 なお、2023年度の実績としては、むしろ副産物となるが、名詞的述語の分析から「品詞転換」の類型論的な分析が進み、その成果を2本の論文としてどちらも国際学術雑誌に出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度まではコロナ禍によって不可・困難であった、共同研究者の元へ赴いての、データを突き合わせての分析作業やディスカッション、共同執筆や共同発表の打合せが、海外渡航を含めて可能となり、2023年度には前年度の遅れを取り戻すことができた。代表者がコロナに罹り学会参加も断念するなどあったが、それも共同発表者が発表を行い、発表後にオンライン・対面で打合せも行うことができた。 主観性表現に関するデータの分析、特に対訳コーパスの分析は時間がかかり数も限られた言語間でしかできないが、中国語・タイ語・ペルシャ語など、母語話者の協力も得て、それらの言語の類型化が進みつつある。他の言語については記述文法書や対照言語学的研究論文の記述や議論の集約を進めている。 好まれる言い回しとしての主観性表現の対訳コーパス分析から、他の好まれる言い回しとして、ナル/スル表現、名詞的/動詞的述語表現、出来/状態表現などについても、特に主観性表現との関連性について明らかになってきており、まだ発表の段階にはないが、順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に続き、対訳コーパスなどのデータの分析を進め、多言語間の好まれる言い回しとしての対応表現を明らかにする。特に、英語等の言語と対照的な日本語の好まれる言い回しとして、主観性表現との関わりを明らかにしてきたナル的表現/スル的表現、及び名詞的述語表現/動詞的述語表現に加え、出来の表現/状態表現等の関連性についても議論を集約・整理し分析を進めて明らかにする。これらの点を、対訳コーパス等の実際の言語使用のデータに基づいたものにするのに加えて、各言語の記述文法書での記述や、当該テーマの特に日本語との対照言語学的な研究論文の記述にも基づき、明らかにする。さらに、中村(2009)で提起されたIモード、Dモードの認知のモードに関わる言語表現の要素、また、山梨(2023)で示された言語の表現スタイルに関わる認知のプロセスのタイプに基づき、日英語以外の言語での要素別・タイプ別の類型を検討し、母語話者の容認性の判断も参考にしつつ可能な限り文法書などの記述に基づき、どの要素・タイプにおいてそれぞれの言語がどちらの類型に属するかを検証する。 また、主観性表現と近似の表現として考えられるエヴィデンシャル/証拠表現やモダリティの表現について、これまでの先行研究のデータや議論を集約し、特に文法化との関わりの観点から、関わり及び異同を明らかにする。
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