Project/Area Number |
21K00543
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
磯貝 淳一 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40390257)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 和化漢文 / 変体漢文 / 書記言語 / テクスト機能 / 助字 / 接続語 / 仏教漢文 / 日本語史 / 接続詞 / 談義聞書 / 仏教説話 / 書記史 / 表記史 / 文体史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、言語資料としての活用が未開拓である仏家の注釈・論義資料を対象として、原本調査から漢字使用の実態把握、文章構造や展開の解明に基づく文体特徴の記述を行う。従来の和化漢文研究では、漢字と読みの対応に基づく語単位の文体特徴の抽出が成果を上げてきたが、本研究では、文章論的な観点から仏教漢文の分析と文体範疇の再構築を進める。この観点が可能にするのは、「仏家的な」文体/言語の発見であり、仏家が直接間接に関わった文章について、その成立や周辺諸文体との関連性を解明するための新たな視点を提示することとなる。最終的には、仏教漢文が日本語書記の歴史に与えた直接間接の影響をより明確に捉えることが可能になる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平安時代後期から鎌倉時代における仏教漢文の文体特徴の解明である。令和5年度は、これまでに記述し得た和化漢文の言語事象に基づいて、「文体特徴の記述」に関わる成果をまとめた。 まずは、仏教系説話の和化漢文である東寺観智院蔵『注好選』を対象とした調査研究結果を公開(論文発表)した。中国古典文を出典に持つ和化漢文と出典資料との異なりの記述を起点として、『注好選』に見る書記様式の志向について検討を行った。出典とそれに基づいて編纂された和化漢文という関係の枠組みを用いることで、和化漢文側に見られる変容を「和化」の事象として位置づけ、中国古典文の語法の範囲にある事象が日本語書記の一様式として働く実態を明らかにした。「和化」と認める事象の範囲を広げることによって、「中国古典文寄り」に位置づけられる資料に、成立の目的・場に関わる「実用文的性格」を認める可能性を指摘した。 また、仏家の手に成る和化漢文の文体特徴が和漢混淆文の説話表題に認められる点に着目した成果発表(学会発表)を行った。『今昔物語集』表題と本文の文章は、漢字文・和化漢文体/漢字片仮名交じり文・和漢混淆文体という違いを見せるが、用字法の面からも両文章(文体)に違いがみられることを確認した。具体的には、数種類想定される「アフ」の漢字表記のうち、「値」の使用が巻22以降では表題に集中するという点に関わって、本文の同文的記載の比較から、表題の用字が文体的位相差の自覚に基づいて行われている可能性を指摘した。またこの点については、僧侶が関わる説話の和化漢文の実用文的側面を考慮に入れて、より実証的に検討していく必要があるとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までは、予定していた原本の調査・分析に遅れが生じていたいが、写真撮影されたデータによって補完すること、また本研究課題以前に基礎調査を終えている資料の分析を積極的に進めたことで、やや遅れを取り戻すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
資料の原本調査を継続しつつ、言語的特徴の分析に研究の中心を移し、成果のまとめを視野に入れた研究を積極的に進める。
|
Report
(3 results)
Research Products
(9 results)