近代の標準語の確立と受容に関する包括的研究―地方出身者の「標準語」―
Project/Area Number |
21K00553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小島 聡子 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (70306249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 千裕 北海道大学, 教育学研究院, 専門研究員 (60882066)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 標準語 / 国語教育 / 地方 / 児童雑誌 / 児童の作文 / 郷土資料 / 近代日本語 / 童話 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代の「標準語」が確立・普及していく大正期から昭和前期を中心に、当時の地方出身者の作品の言葉を分析することを通して、方言話者である彼らが書いた「標準語」がどのようなものか、その語法の特徴と方言の関わりを探りつつ「標準語」の受容の過程を明らかにしようとするものである。 特に、言語形成期の子供達が多く接したはずの教科書や童話類を分析するとともに、子供達の作文が収録されている各地の児童雑誌の類に着目する。それによって、現在の「気付かない方言」にも通ずる書き言葉の様相をみるとともに、近代の「標準語」的な書き言葉の文体のうちの子供向けの平易な文体の成立過程を探ろうとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度、研究代表者は本務校の学務及び授業等により研究資料の収集には赴けなかったものの、研究分担者は、函館市中央図書館で資料の予備調査を行い、今後調査対象として精査すべき資料について検討した。なお研究分担者の調査により、本研究課題検討時に参考にしたデータベースが、諸事情により既に公開停止にされてしまっていることが判明した。ただし、データそのものは北海道立文学館に保存されているため、入手の可能性は残されているとのことなので、計画を軌道修正しつつ研究を進める必要がある。 また、研究代表者は宮沢賢治の表現を取り上げ、検討した。宮沢賢治は大正期から昭和初期に活動をしていた人で、地方出身で方言話者として標準語と方言の違いについて強く意識しつつも、標準語の表現になじみ切れておらず、特に童話作品で易しい話し言葉らしい表現の部分で、方言の影響とみられる標準語らしからぬ表現が散見することを指摘した。一方、宮沢賢治の文語文(普通文)については、当時の普通文の規範の一端を示す「文法上許容スベキ事項」との合致状況を見ても、当時の文語文の例と比較して、特異な表現は見当たらず、当時の文語体が誰もが規則を習って使う言語で、特に話し言葉の干渉を受けにくいものであったためと考えられることを指摘した。これらの分析に際し、宮沢賢治の得業論文「腐植質中ノ無機成分ノ植物二対スル価値」をテキストデータ化した上で形態素解析し簡易コーパスとして利用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一部予定を進めてはいるが、本務の多忙化が著しく、他の課題の対応もあり、前年度までの遅れを取り戻すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
函館市中央図書館及び札幌文学館などの資料を所蔵する図書館に赴き、資料の探索・収集を急ぐとともに、収集した資料を研究分担者とともに分析する。収集したテキストについては、データ化を進めるが、その際は最新のツールを利用して簡略化を図る。
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)