A Top-Down Approach to Licensing of Various Syntactic Elements
Project/Area Number |
21K00583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺田 寛 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (90263805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 認可 / 倒置 / 助動詞 / トップダウン / 生成文法理論 / ミニマリストプログラム / 否定極性項目 / トップダウン派生 / c統御(構成素統御) / 生成文法 / トップダウン式派生 / 随伴現象 / 動名詞 / 最小探査 / 統語論 / 構造構築 |
Outline of Research at the Start |
人間は、ことばを発する際に、文の最初から徐々に文末へ文を生み出す。統語論の領域においては、この点をうまく取り込んでいるとは言えない方法で、つまり、文末からより文頭へと文構造を構築する方式を支持している統語論者が多数派を占める。このように発音とはまるで逆向きに文構造を構築する方式を「ボトムアップ方式」という。本研究は、この方式に異を唱え、文構築は文頭から文末へ「トップダウン式」に進む立場を支持する。文中にはさまざまな要素が現れ、それらはさまざまな形で適格な要素として認可を受けると考えられる。本研究はその認可の方法をトップダウン方式で統一的に捉える試みである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、倒置の認可方法に関して先行研究の問題点を検証し、トップダウン式構造構築にもとづく統語分析が有用であることを支持する研究を行った。Chomsky (2000)などの素性照合理論を取り入れたPesetsky and Torrego (2001)による素性照合の経済性にもとづく分析や、Chomsky (2008, 2013, 2015)などの位相理論や素性継承にもとづくCarstens et al. (2016)やラベリング理論にもとづくTanigawa (2017, 2019)の分析がこれまで提案され、主語がwh句になる場合に倒置が起きない理由を説明している。これらの先行研究とKim (2022)の理論を比較した結果、位相理論にも素性継承理論にもラベル決定のアルゴリズムにも頼らずに、Kim (2022)の素性の設定を採用すれば、トップダウン式の構造派生が有効な説明理論になりうるという分析を進めた。それだけでなく、Kimの枠組みで問題となる素性の探査領域を制限できることも明らかにした。このような点を論考にまとめ、査読なしの紀要に掲載した。 また、Jason GinsburgやSandiway Fongや松本マスミと共に、日本語における動詞と名詞からなる複合語の派生に関する共同研究にも加わった。寺田はもっぱらデータの提供を担当しつつも、近年の生成文法理論の理解とその応用について、共同研究者たちと理論考察を進め、国際学会での研究発表に応募した。応募の結果、発表を受理されなかったものの、査読者から有益な指摘を得たため、さらなる考察を続けている。 英文法用語大事典の編集を依頼され、複数形専用名詞、集合名詞、派生名詞、複合名詞、不可算名詞などの用語解説の原稿執筆を行うなかで、今後の研究につなげ、それらに関連する文法現象の理論化を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
労働時間を朝は8時30分から午後5時15分までとし、夜間土日祝日は仕事をしていないように制度上は制限されている。これを守れば(心と体は健康でいられるかもしれないが)、研究に充てる時間はおろか、研究以外の仕事に充てる時間すら十分ではない。研究以外の仕事をおこなっているだけで、1日8時間の労働時間を越えてしまう。 日本人の睡眠時間が先進国で最も少ないとか、日本の注目される論文数が過去最低の世界12位にまで低下している、という報道につながっているのはこのためではないだろうか。 そのような、研究に費やせる時間のない中で、立てられる研究の計画といえば、学会発表や査読付き論文を掲載させるという大きな仕事を計画するのは難しい。査読のない紀要に論文を1つ掲載するくらいしか時間的余裕がないためである。2023年度についていえば、査読なし論文を1つ紀要に掲載することができ、共同研究の中で学会発表に応募することができ、用語事典の原稿執筆と編集作業を行うことができたため、おおむね予定どおりに研究を進めることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、この個人の科研費の研究テーマとして主語助動詞倒置を取り上げた。当初予定していた数量詞に束縛される代名詞の弱交差現象から、研究テーマを倒置に変更した。 このように研究の推進方策は変更する可能性があるものの、2023年度の仕事を発展させ、さまざまな性質をもつ名詞の認可について研究を2024年度に行う予定である。とくに英文法用語大事典の執筆依頼を受けて名詞について考える中で、可算名詞と不可算名詞の認可という問題を研究する価値があることが分かった。そこでの認可とは、可算名詞が単数形の際に、決定詞がついていなければ非文法的になるというよく知られている現象である(I have a dog vs. *I have dog)。これに関して、研究テーマにプラスに働いている用語事典の執筆と編集をつづけながら、トップダウン式構造構築理論によるよりよい説明を追及する予定である。 さらに共同研究者たちとの日本語の複合語の研究にも昨年度同様に協力し、Chomsky 2021で提案されいるForm Copyという概念やChomsky 2024で提案されているBox Theoryについての理論的な貢献を行うことができるよう、このテーマについての共同研究を続けていく。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)