イタリアの複言語主義にもとづく移民児童生徒への教育政策とその実態
Project/Area Number |
21K00789
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
西島 順子 大分大学, 教育マネジメント機構, 講師 (80879065)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
Keywords | 複言語主義 / 複言語教育 / plurilinguismo / 民主的言語教育 / イタリアの言語教育政策 / トゥッリオ・デ・マウロ / 移民児童生徒 / イタリア / 言語政策 / 言語教育政策 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1970年代に他国に先んじて言語や教育の格差を是正するため複言語教育に取り組んだイタリアの言語教育政策の変遷を振り返り、複言語主義に基づく言語教育が教育の平等に寄与するかという問いを明らかにする。第一に、イタリアの近年の言語政策の文献調査を行い、移民児童に関わる言語教育の変遷をまとめる。第二に、イタリア人教員の複言語主義への意識や外国人児童への態度、また授業実践に関する質問紙調査を行い、その認知と行動の相関関係を明らかにする。第三に、半構造化インタビューを実施し、教育の実際を明らかにする。これらから、複言語主義に対する認知や行動が教育現場にいかなる影響を与えるか分析し、考察する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は1970年代に他国に先んじて、教育格差を是正するために複言語教育に取り組んだイタリアの言語教育政策の今日までの変遷を振り返り、複言語主義に基づく教育の有効性を資料と現地調査によって明らかにする。 2021年度の調査で、1970年代に提唱されたplurilinguismoを包摂する民主的言語教育がイタリアの言語教育政策に影響を与え続けていたこと、一方で現在の移民生徒への教育には欧州評議会の複言語主義に則って進められていること、それにより、イタリア固有のplurilinguismoは欧州の複言語主義と同義とみなされていることなどを明らかにした。 2022年度はこの研究結果を『複言語教育の探求と実践』の分担執筆し、発表した。 2021年度の研究を基盤に、現行の政策のもとで実施されている複言語教育の現地調査を行った。イタリアのなかでも移民の割合が高いミラノで、ミラノ市や教育局が取り組む移民包摂のための制度やその具体的な事例を教育関係者へのインタビュー調査や教育機関での観察から、以下の点を明らかにした。 1)ミラノ市の言語教育政策の実際を明らかにした。ミラノ市は法律や教育政策に基づき、市内を4区域に分け、それぞれにPoli STARTと呼ばれる事務局を設置している。Poli STARTがイニシアティブをとり、各教育機関や地域社会を連携させながら移民の社会包摂を推進していることがわかった。 2)Poli STARTが実践している「母語の日」の活動を調査した。生徒はその活動の中で少数者(移民)の言語や文化を学び、「母語の日」に区内の複数の教育機関が集う場で、その成果を発表する。この活動を通して、複言語・複文化教育が教育現場で具現化されていることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は新型コロナ感染拡大で渡航が困難であったため、予定していた現地調査を見送っていた。そのため2022年度の9月に初回現地調査を行い、約1年遅れで研究は進行している。遅れは生じているものの、2度目の調査を2月に行い、現在はそれら収集した情報を急ぎまとめているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度はこれまでのイタリアの言語政策に関する文献調査や現地調査の結果を論文としてまとめる。現在は現地の教育政策の資料、また実践の観察データやインタビューデータの収集が落ち着いたところである。それらを分析し、ミラノ市が行うSTARTのプロジェクトの有効性と限界、また実践されている複言語教育や異文化間教育の効果と問題点を考察し研究成果として論文や学会で発表する。また、年度内に国際研究集会を開催し、研究の成果を国内外の研究者と共有する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(9 results)