Project/Area Number |
21K00838
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
櫻井 良樹 麗澤大学, 国際学部, 教授 (90211268)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | G・R・ホール / ウォルシュ商会 / 茶貿易 / 日米交流 / 商人ネットワーク / ラッセル商会 / 居留地貿易 / 茶輸出 / 横浜 / 中山元成 / G.R.Hall |
Outline of Research at the Start |
本研究は、幕末期の横浜における欧米への茶輸出に関する貿易の実態解明を通じて、東アジアと欧米(特にアメリカ)とのつながりを捉えていくことを目的とする。具体的には、貿易活動を行っていた日本人と外国人商人、そして日本人と外国人をつなぐ役割を果たしていた上海から進出してきた中国人コンプラドールなどの活動を通じて、幕末から明治初期における日本と東アジア社会・欧米社会との結びつきを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
海外渡航が可能になったことにより、中心課題である史料調査ができ、重要史料を収集できたことが最大の成果である。カリフォルニア大学バークレイ校東アジア図書館においてデジタル資源を通じて、The Sacrament Bee、Daily Alta Californiaという新聞を閲覧した。江戸ウーロン茶やオンワード号の追跡および1860年のサンフランシスコ港での輸出入に関する年報の紹介記事から、日本茶の登場が1860年からであることが確認された。バンクロフト図書館蔵のラルストン文書では、長崎のウォルシュ・ホール商会の広告記事から、同社にヘンリー・ハウも関係していたことがわかった。この作業は、帰途に立ち寄ったニューヨークのパブリック・ライブラリーでも続けた。 ボストンでは、ハーバード大学ベーカー図書館で、アップルトン商会文書を閲覧した。予想した西海岸と日本との貿易を示す史料はなかったが、日本を訪問してラッセル商会と共同しながら貿易を行っていたF・Gデクスターが、横浜から上海・ボストンに送った報告書をたくさん発見した。またマサチューセッツ歴史協会においては、以下の史料を閲覧・収集した。フーパー文書には横浜の様子がわかる書簡がいくつかあり、ウォーデン家文書にも横浜から出した8通の妻宛書簡があり、特にそれは内容が豊富で、開港直後の横浜の姿と貿易の実態を示すものであった。さらに5年前に一部を見たデクスター文書のBox2を精査した。なお2年前に紹介したG・Rホール文書が、同協会に寄贈されたことも帰国後確認した。 またボストンにおいては、近郊のミルトン地区にあるフォーブズ家の記念館(博物館)、キングストンのエバーグリーン墓地のホールの墓所を訪れた。墓地には、ホール家、ビール家、ワーデン家が、それぞれかたまって墓を作っていることがわかった。調査にはアメリカの史料事情に詳しい大西比呂志氏が同行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新型コロナウイルスの5類相当への引き下げと、渡航手続きの簡略化により、研究計画書で予定していたとおり、海外調査を実現することができ、横浜開港直後のアメリカ人商人の活動を示す新史料を多数発見収集し、その分析をすることができたことが、本科研を通じて最大の成果であった。 ベーカー・ライブラリーおよびマサチューセッツ歴史協会で撮影した写真をもとに、Warden、Hooper、Dexter、Appleton文書の目録を作成するとともに、重要なものからJeremy Moorhead氏に依頼して、英文の書き起こしをしてもらい、それを翻訳する作業に着手することができた。またそれを紹介する調査報告を横浜開港資料館の横浜幕末維新史研究会で行うとともに、大学の紀要に紹介した。その過程において、アメリカ人商人のネットワークが見えてくるとともに、1859年の日本からの大量の金貨流出の実態が、これまで紹介されてきたイギリスの史料からだけでなく、アメリカ商人の史料からも検証することができる感触を得た。また史料中に中国人コンプラドールの名前が記されており、アシンという探していた中国人の存在を確認できたことも重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本研究の最終年度にあたるため、補充調査と、いちおうのまとめを行うことを目標とする。補充調査については、昨年度の調査の際に時間切れで閲覧できなかったハーバード大学ベーカー図書館のアップルトン文書およびマサチューセッツ歴史協会のFranklin Gordon Dexter papersのBox3およびBox4、さらに昨年同協会の所蔵となったG・Rホール文書を確認する。改めてフォーブス家経営記録を見直すことも必要だと思われる。また可能であれば、イギリス側史料調査(2年目・3年目に予定していた)が未着手のため、本年度はイギリスのケンブリッジ大学図書館Jardine Matheson Archiveに所蔵されている商人で取り交わされた書簡目録の分析を試みて、今後の調査のヒントを得られるようにつとめる。
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