Project/Area Number |
21K00841
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 徹 同志社大学, 文学部, 准教授 (50612024)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 荘園制 / 丹後国惣田数帳 / 荘園 / 武家領主 / 室町時代 / 室町期荘園制 |
Outline of Research at the Start |
現在室町時代研究は、荘園制論と武家領主論の二大論点を踏まえた総合的理解へと進みつつある(室町期荘園制論)が、鳥瞰的な視座が不十分なこともあって、この時期の武家領主の位置づけという重要な点について、共通理解を形成できておらず、それがこの時代を通史上に位置づける際のネックとなっている。 そこで本研究では、個別武家領主・個別武家領に関する情報を広く収集したうえで、それらを広域的・横断的に分析するために重要と思われる諸史料(丹後国田数帳など)について分析をおこなう。それによって当該期の荘園・郷や武家領主に関する、鳥瞰的・総合的な視座を獲得することをめざしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、荘園・武家領主に関連する史料や文献を幅広く収集する基礎作業を引き続き実施するとともに、いくつかの国において具体的な検討を進め、大きな進展を果たした。なかでも、下記のように「丹後国惣田数帳」に関する研究を進展できたのは大きい。 ①「室町期丹後国荘郷・領主研究序説 ─「丹後国惣田数帳」の基礎的考察─」(『令和4年度京都府域の文化資源に関する共同研究会報告書(丹後編)』、2023年)では、「丹後国惣田数帳」にみえる領主名(寺院名・武士名)について詳細な考証をおこなったほか、特に「御料所」を足利将軍家御料所とする説を提示した。また、そうした個別考証を踏まえて公田数の再集計をおこない、丹後国で在京領主の所領の占める比率が伊藤俊一氏が見積もったよりも高い(国内公田の75~80%)ことを示せた。 ②「室町期丹後国における荘郷と領主」(『人文学』213号、2024年)では、①を踏まえて、丹後国の領主分布の特質を究明した。とくに重要なのは、国内公田の75~80%が在京領主の所領で、国人の所領は10%程度に過ぎない(国人は大規模でも10~20数町程度)という状況が形成されるのは、大規模な所領が在京領主に掌握された結果であることを論じた点である。これは、いわゆる「室町期荘園制」論で提起された社会像がどれほど一般化可能なのかを考える際に鍵となる重要な論点である。 ③なお、「室町時代の丹後国」(『京都を学ぶ【丹後編】』、2024年)は①②を要約するかたちで一般向けに記したものである。 以上のような諸研究で、「丹後国惣田数帳」を分析して丹後国全体を鳥瞰的にとらえることを達成できたのではないかと考えている。 このほか、学会発表「室町幕府と九州国人」も本研究関連で蓄積した情報・検討成果を前提とするものであり、今後の原稿化を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り2023年度は、荘園・武家領主に関連する史料や文献を幅広く収集する基礎作業を引き続き実施したうえで、丹後国について一国単位での鳥瞰的視点獲得・総合的把握を進めることができた。また、国をまたぐ検討についても進展があった。ただ、初年度・2年目のコロナ禍の影響で、現地への調査出張に行けていない地域もあり、当初予定として考えていた点について、不十分な部分も残っているため、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、最終年度にあたる。丹後以外の諸国についても具体的な検討を進めるとともに、目標に掲げていた、国をまたぐ広域レベルでの検討を進め、順次成果の公表をおこなっていきたい。また、本来予定していた現地への調査出張には、可能な限り行けるようにしたいと考えている。ほか、不測の事態については、研究計画をみなおすなどして柔軟に対応できるようにしたい。
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