Project/Area Number |
21K00893
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
岡本 弘道 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (70469237)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 朝貢 / 外交 / プロトコル / 明朝中国 / 中華 |
Outline of Research at the Start |
前近代の東アジアにおける「朝貢」は、これまで中国の優位性を前提とする外交関係、および経済・文化などの交流手段として理解されてきた。しかし現実には、このような関係は「朝貢」を行う周縁の側、すなわち非中国世界の側からの主体的な使節派遣がなければ成立しない。本研究の目的は、「朝貢」という「プロトコル」(手順・規則)を“中華”に対して“外夷”が従属する関係としてではなく、非中国世界の側の戦略的相互関係として位置付け直すことである。当時の人々の意識、取り得た選択肢の幅、「朝貢」プロトコル自体の変容などを再検討し、「朝貢」という関係構築プロトコルの普遍性・汎用性及びその限界を明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「朝貢」という「プロトコル」(手順・規則)を中国からみた“中華”に対する“外夷”の従属としての非対称的関係としてではなく、非中国世界からみた戦略的な相互関係として位置付け直し、当時の人々の意識、取り得た選択肢の幅、「朝貢」プロトコル自体の変容などを再検討するものである。 明朝期およびその前後の時代の人々の「朝貢」意識・認識についての調査・分析、周縁の各朝貢国・朝貢勢力にとっての「朝貢」以外の選択肢についての調査・分析、そして「朝貢」プロトコル自体の時代的変容に対する調査・分析、およびその理論化を通じて、「朝貢」という関係構築プロトコルの普遍性・汎用性及びその限界を明らかにすることを目指している。 本年度は、前年度に引き続き明朝期・清朝期についての研究を進めつつ、「朝貢」を契機として戦略的な相互関係が発露しうる事例の収集作業を進めた。文献調査・史料収集活動については、台湾における調査出張を行い、一定の成果を得た。 「朝貢」が持つ戦略的相互関係を解明する上では、王朝交替を伴う変動期が重要であることを鑑みて、“中華”王朝の交替期に注目する必要があるが、同時に周縁各国・各勢力の政権交替や興亡が「朝貢」に対してどのような対応をするかについても注意を払う必要がある。この点を踏まえて、元明交替期や明清交替期の各朝貢国・朝貢勢力だけでなく、新規にアジア海域に参入したポルトガル・スペインなどのヨーロッパ勢力の事例についても調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行の影響がほぼ解消されたため、当初予定していた資料調査等の活動を再開したものの、調査出張に関してはこれまでの遅れを解消するには至らなかった。 またそれに伴い、多額の繰越金も発生した。 次年度は研究最終年度となるので、調査活動を完了した上で、順次研究成果を公開していきたいと考えている。海外調査としては前年度に実施した台湾における資料調査と共に、中国大陸での資料調査が行えないか、計画しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは前年度までの遅延部分の挽回に努めていきたい。国内調査はもちろんのこと、海外調査についても可能な限り重点的に資料調査を行う予定であり、今年度については台湾に加えて中国でも資料調査を実施する予定である。 とりわけ、明朝期およびその前後の時代の人々の「朝貢」意識・認識についての調査・分析についての研究を重点的に進めると共に、周縁の各朝貢国・朝貢勢力にとっての「朝貢」以外の選択肢についての調査・分析についても可能な限り作業を進めて行きたい。 また王朝交替を伴う変動期については、中国側だけでなく周縁諸国・諸勢力の側の視点を重視して、事例収集と研究に精力的に取り組んで行きたい。 成果公開に関しては、(1)明朝初期における「招諭」、(2)明朝の朝貢国における政権交替と双方の対応、(3)明末清初期における「朝貢」の変容、(4)ヨーロッパ勢力による「朝貢」の試み、の4点について、順次研究発表・論文公開を進めていきたい。
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